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【スタッフのサイクリング】冬は風の強い日が多すぎる !2025年1月20日

こんにちは。今治店スタッフの川村です。真冬にサイクリングをするとき「風が強くてぜんぜん前に進まねぇ…」っていう目にあう機会が多くなりますよね。そういったときにサイクリスト界隈で言われるのが「冬は風の強い日が多いからツライ」というお話です。

でも、実際に年間を通してライドに出掛けていると何となく気付きませんか ?

「風が強くても暖かい季節はもう少し進むような…」

ということに。

そうなんです。冬になると自転車が前へ進みにくくなるのは、ただ単に冬型の気圧配置で「風の強い日が多い」という理由だけではなく、そもそも「気温が低いから」という部分にも原因があります。

今回のお話でポイントとなるのは…

「空気密度」と「気温」の関係です。

これ、高校物理に出てきたのを覚えている方、いらっしゃるのではないでしょうか。ということで。今回は冬のライドが疲れつかれやすい1つの原因、空気抵抗とその対策について一歩踏み込んでみたお話です。実際に数値化してしまうとごく僅かな差かも知れませんが、原理を知っているのと知らないのとでは、シンドイときの心構えも変わってきます。

「わたしガチ系サイクリストじゃないし関係ないもん」

などと仰らずに。

宜しければ暖かいコタツに入って、みかんでも召し上がりながら最後までお付き合いくださいませ。

「ネコは柑橘食べれないニャ」

ちなみに今治界隈のミカンはことし裏年なんですってね。

ではさっそく参りましょう。尚、説明にあたり、数字とか計算式は使用せずに(というか使えん)お話を進めて参りますので、どうぞゆるッとした感じでお読みくださいね。

まずは今回の主役、いつも当たり前のように私たちの周りに存在する空気。空気は温度(気温)が変わるとそこに含まれる分子の密度があがります。その様子をざっくりイラストにするとこんな感じです。

温度が上昇すると分子の運動が活発になり、「者ども散れー!」といった感じになります。

温度が低下すると分子の運動が少なくなり、「者ども集えー!」といった感じになります。さらに専門的な要素は割愛しますけが。

結論から申し上げます。

「冬に自転車が前に進みにくい」
「前へ進むのに頑張らないといけない」

と感じる理由。それは…

密度の増した分子で構成された空気を押しのけて、ペダルをこいで進む必要があるからなんです。

もっと分かりやすく例えるならDAIMAに出てくる第3魔界のように、空気の関係で動きが重くなるといった感じでしょうか。

あっちは火山ガスの影響ですけど、体感としてはそのぐらい重くなる気がします。

ここでもう少しだけ踏み込んでみます。

最近のロードバイクをご紹介するとき、その説明の中には「エアロダイナミクス」や「空力性能」という文言が出てくるかと思います。

「新形状を採用したことにより空気抵抗が減少、40km/hで走行する際に数ワット削減できる」というやつです。ここには「流体力学」という分野が必要不可欠。

ざっくりとした説明になりますが、流体とは一般的に気体や液体のことでして、「定まった形を持たずに自由に形状を変えることができる」「金属や紙のようにそのものを折り曲げたり切ったりすることができない」というような特徴をもった物質です。とうぜん私たちの周りにある空気も流体です。

デザイナーやエンジニアが物体の周囲で起きる流体の動きを研究して、より効率的に走れる形状を生み出す。それがロードバイクの空力です。

なお、流体力学をより深く理解するうえで必須となる数Ⅲの出来がゴミだったわたし。

「オレ、スウガク、ムズカシイ」

ぶっちゃけますと説明できるのはこの程度です。流体の粘性とかそういうツッコミはヤメテクダサイ。マジで。

さて、お話を空気の密度に戻しまして、別の乗り物の例を1つご紹介します。

「レボ☆リューション!」

クルマなどの乗り物が好きな方は、この地名でお判りいただけるでしょう。

「マダガスカルッ!」← 違う

アメリカのコロラド州にある山で古くから行われている「パイクスピーク・インターナショナルヒルクライム」というクルマのレース。スタート地点の標高は2800mぐらい、そしてゴールはなんと!富士山の頂上よりも高い場所、標高4300m地点にあります。別名「雲へ向かって登るレース」実際に現地へ行ったことがなくても、ゲームで走ったことのある人や、動画や雑誌で見たことがある方も多いのではないでしょうか?

そうした特殊な環境で行われるモータースポーツ競技なので、鈴鹿とか岡山などのサーキットを走るレーシングカーのそれとは異なる工夫が、参加する各マシンに施されています。

イラスト:スタッフ川村

標高が高くなると空気が薄くなるというのは、登山のお話などでもご存じでしょう。「空気が薄くなる」→「物体の周りにある流体から受ける影響が少なくなる」ことになります。通常スピードが増すと、殆どのクルマは周囲の空気の流れに伴い、車体を浮き上がらせる「揚力」が働きます。

高速で走行するレーシングカーにとっては、揚力よりも車体を地面に押し付ける力「ダウンフォース」が必要不可欠です。空気が薄い高山エリアでは、ダウンフォースを得ることが難しくなり、4つのタイヤを地面に押し付ける力が弱くなります。すると、加速や減速はおろかハンドルによる舵も効きにくくなります。で、そういった環境でもダウンフォースを発生させる為の空気をたくさん受けるために、パイクスピークを走るレーシングカーは、先ほどのイラストのように普通のレーシングカーよりも大きなリップスポイラーやリアウィングを装着しています。

これの原作漫画でダウンフォースを知ったという、現在のアラフォー世代エンジニアも多いはず。

ここで一度サイクリングの話に戻りまして。わたくし随分前に1度だけ、かの有名な富士ヒルに出場した経験があるのですが。

ゴール前ラスト2kmぐらいって登り勾配が一旦緩くなることも影響して、ヒルクライムレースとしてはあまり経験が無いぐらい、スピードがめっちゃ伸びた記憶があります。(風向きの影響もありますが)

あとゴール後の下山走行でも1000m程度の山で同様の勾配を下る際より、スピードの乗りがあきらかに良かった記憶があります。なので当時のリムブレーキではレバーを握り続けるのがめっちゃ疲れた記憶も。あれにも空気の薄さが関係していたのでしょうね。

いま走ったらどれぐらいのタイムを出せるのか。

「わたし、気になります ! 」

さてさて。

パイクスピークを走るガソリンエンジンのマシンは、とうぜん空気と化石燃料を燃焼させて動力を得ているため、エンジンに取り込める空気が少なくなるとパワーも出にくくなります。そのため過給機(ターボ)をはじめ、様々なチューニングを追加しています。過去、日本から参戦したマシンの中には、エンジンを2基積むことで諸々の事情を解決した、いわゆるモンスターマシンなんていうのもありました。

「7番ツインエンジン」
「違うじゃん ! 」

現在は電気自動車をベースとしたマシンのカテゴリーがあるので、先述のような空力面のほうが目立つ印象ですけどね。当然ですが、現在のレコードタイムを出したのは近年のEVマシンです。個人的にはあまり好きではないですが。

ちなみに。一般に販売される普通車にもエアロダイナミクスは積極的に取り入れられておりまして、燃費の向上や走行感の質の向上など、目的にあわせた工夫が施されています。さらにエアロパーツなどを装備したスポーツタイプのクルマでは、寒い冬ほどそれなりの違いを感じることができます。この辺りだと松山自動車道なら新桜三里の松山方面下り、高知自動車道なら南国までの下り。

中央自動車道なら恵那山トンネルあたりから小牧方面の下り区間。

もちろん法定速度内でのお話ですよ ?

さらにはパイクスピークのような高山エリアの環境と違い、ごく一般的な生活圏で気温が下がると空気密度が増すため、濃い空気と一緒にガソリンを燃焼できるようにもなります。

なので、冬のほうがアクセルに対するエンジンのツキもよくて、細かいアクセルワークで速度調整をはじめとするコントロールがしやすくなるのを実感しています。寒いと空気抵抗も増えますからね。これはガソリンエンジンで車体が軽く、シンプルなクルマの方が解りやすい印象ですね。ちなみにわたしが好きなコンディションは気温10℃~13℃ぐらいで、低気圧が程々に離れた日ですね。

だいぶ話がそれてしまいましたが。空気の密度についてのお話に戻るとある事にも気付くわけです。

「気温が低くて空気の密度が増したら、酸素をたくさん吸えて有酸素能力が向上するのでは?」

このあたりは運動生理学などの研究結果を調べてみないとわからないのですが。ぶっちゃけ。

人間の身体は機械と違ってそんなに単純ではないわけでして。

まずお察しの通り、筋肉や関節の動きは寒いと鈍くなります。

ここはウォーミングアップとウェア類による防寒対策でそれなりに改善しますが。キンキンに冷え切った冬の空気、そして超ド級の強風時には、呼吸自体がツライもしくは出来ないという経験がございませんか?

極端に冷たい空気は、たくさん吸い込もうとすると呼吸器官への負担が非常に大きく、湿度が低くて空気自体も乾燥しているため、無理をすると喉を傷めやすいんですよね。

なお、呼吸がしにくい理由として私が考えていますのは、

「口元を爆速で風が流れるため吸い込みにくい」
← 顔面を流れる気流で発生する負圧が呼吸を邪魔する
(多分ここで関係するのが空気の粘性)

「横隔膜の動きが鈍くなり呼吸をしにくい」
← 横隔膜は呼吸筋なので寒さで動きにくくなる

といったところでしょうか。そのほかにもっと詳しい方がいらっしゃいましたらぜひ教えてくださいね。

それでは総括に参りましょう。

ここまでのお話をもとに、冬のライドを少しでも快適にする方法。

◇小さいフォームを意識して前面に受ける風を少なくする
◇身体のラインにフィットしたウェアを着ることで空気抵抗を減らす
◇且つ保温性に優れるベースレイヤーとアウターを着ること!
◇ウォーマー類で口元を覆う
◇そこそこの運動強度で淡々と長めに走る
(有酸素運動能力を高める)

あと即効性はないですが。
◇筋トレをする

といったところでしょうか。

如何だったでしょう。シリアスレーサーでもホビーサイクリストでも、あなたの周りには等しく空気が存在しています。対策を1つでもお試しいただきますと、今の自分でもちょっとだけ楽に走れるようになるかも知れません。あとは寒さに臆さず沢山ペダルをこいで出掛けましょう!

それではまた次回スタッフのサイクリングで。

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