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セルフディスカバリーアドベンチャーin王滝2016年9月27日

※9/18に開催されたマウンテンバイクレースの体験記です。
長文になりますが、よろしければお付き合いくださいませ。

 

日本で最大級と言われ、全国各地からマウンテンバイカーが集うレースイベント、

「セルフディスカバリーアドべンチャーin王滝」が9月18日に開催されました。

木曾御嶽山の麓、長野県の王滝村にある松原スポーツ公園を会場とし、ひたすら続く上りか下りのオフロードを行きっぱなしのワンウェイで100kmも走るとんでもないアドベンチャーレースです。

(5月は20km/42km/100km、9月は42km/100km/120kmというカテゴリー分けがされています)

 

 

当日は台風16号と秋雨前線の影響で激しい雨降る中での開催。

総参加者963人中701名がスタートし、その中で完走できた選手は457名…。
100kmの部だけで見ても完走率は47.5%と言う状態でした。

スタート地点ですでに900mの標高に位置し、最高地点1600mの山岳地帯を悪天候の中走る事になります。

身内も含め多くの参加者が欠場を決める中でしたが、この日のために3ヶ月半トレーニングし、お店にお休みを貰ってまで出向いたんです。自らを奮い立たせスタートを切りました。

 

会場からパレードスタートの号砲が鳴り、「いよいよ王滝の始まりだ」と実感が湧く。
集落を抜け、舗装路を少し登り30番目ぐらいの位置でリアルスタート。

オフロード区間が始まり、コースコンディションを目の当たりに…。

辺り一面濃霧に包まれ視界は悪く、木々は吹き荒れ、冷たい大粒の雨が降りしきる。
山から溢れる雨水で道はほとんど川と化し、所々かなりえぐられている。
濁った水溜りがあちこちに広がり、底が見えず予想外の深さに気力と体力を削られる。

ライン取りがかなりシビアなのに時折強くなる雨でアイウェアが全く機能せず、外して走る事に。
自らの跳ね上げや前の選手の水しぶきがまともに目にかかり、片目で走る瞬間もあった。

 

コンディションの悪さは下りもしかり。
全く進まない。漕ぎ続ける事を強いられる。
せっかく稼いだスピードも水溜りで吸収され再加速に脚を使う。
そんな中、幸いにもグリップはかなり良く、コーナリングはかなり安定して走る事ができたが「油断したら谷底」なので、死なないように全神経を注いだ。

 

50kmを越える辺から一人旅。
後半に突入し、ここからが正念場となるがモチベーションの頼りとなるサイコンは気圧センサーが水を受けてしまったのか使い物にならない。

天候は荒れる一方。
豪雨や強風に打たれ、濃霧で先も見えず距離もわからず、終わりの見えない上りと辛さに打ち拉がれていると、同じ100kmの選手に抜かれてしまった。

明らかに自分が垂れている。

逃がすまいと踏ん張ろうにも力が入らない。
相応の疲労と気力がマイナスに傾いていたため、力が出ない。
心が完全に折れてしまった。

もう1人・・・
また1人・・・

計、4人ぐらいに抜かれてしまったか。

脚が限界を迎えつつも、無限坂からのアップダウンを走りきりCP3を何とか通過。
「残り25kmか・・・」
まだ4分の1残っているが、残り2山!と考え気力を保つ。

もうここは42kmと同じコース。
走る事を諦めた42km最後尾の選手がトボトボ歩いている。
それに比べればペダルを漕いで走れている。辛さが少しマシになった。

いよいよ最後の登りに突入し「コレを越えれば!」と気合いを入れてジェルを飲み干すが、後ろに気配を感じて振り向くと明らかに速い選手が1人見えた。
この時点であんなに走れる42kmの選手が居るはずもなく、100kmか120kmのどちらかだろう・・・
「嫌な予感は当たる」と感じハイドレーションもがぶ飲みしてとにかく逃げたが抜かれてしまう。やっぱりと言うか案の定100kmの選手だった。もう最後の上りとわかっていたので、ここで離されれば後はない。

 

「今回の王滝は最後の最後まで抜かれて終わるのか」

 

結果が好成績だとしてもそんな事は悔やみきれるはずがない。ゴールへの下りにすべてを掛けるため必死に食らいついた。
かなりのペースだ。前の選手も僕を千切ろうとしているのがわかる。

 

 

いよいよ最後の下り。
何とか離されること無く登り切り、一気に前へ出ようとするが相手は下りも速かった。
向こうはハードテイルでこちらはフルサス。機材で有利なはずだが、なかなか抜けない。
同じ事を考え合っているのだろう。向こうも前に出すまいと必死だ。
直線の隙をついて前へ出るが、コーナーの立ち上がりで抜き返される。

 

お互いに抜く時には言葉にならない声を叫んでいた。

 

ゴールスプリントのような抜かし合いが何回か続いた後、路面が荒れた瞬間で差が広がり、同時に見覚えのあるつづら折れが現れゴールが近いと確信する。

「今!今しかない!絶対逃げきる!」

もう身体のあちこちに痛みが出ていた。
最後の直線でスパートをかけようと立ち上がったが両脚に激痛が走り、サドルに体が落ちてしまう。
許せなかった。もう一度立った。

 

いつの間にか背後へ向けていた意識もゴールへ向けている。

 

王滝が終わる・・・
競り合いの決着がつく・・・
この過酷さから解放される・・・
辛くも楽しかった3ヶ月半が終わる・・・

 

全力で王滝を締めくくるため、顔を上げ、歯を食いしばり、腕を振り、とにかくペダルを踏んだ。

 

そしてついにゴルゲートが目の前に。

「長かった…」

飛び込むようにFinish。

 

リザルト

5時間29分39秒
総合7位 年代別20代男子1位

 

1分後に競り合った選手がFinish。
互いに健闘を称え合い、がっちりと握手。

様々な試練に見舞われ順位争いに心身を削りましたが、何とか克服し上々の結果を残す事ができました(^ ^)

 

5月から始まった長いセルフディスカバリーアドベンチャーin王滝が幕を閉じました。

 

セルフディスカバリーとは、自己発見。

競っての順位争いだけではなく、まともな補給を受けられない長距離アドベンチャーを走破しきる自分との戦いでもあります。

ポッと出で完走できるような大会ではありません。出場すると決めた日から王滝は始まり、走破するための体力作りからドリンクや補給食に着るものと言った計画性も必要とされ、機材チェックもおろそかにできない過酷な大会です。

体力作りが足りずリタイヤしたり、補給が尽きてしまいリタイアしてしまう事も。複数回のパンクによりチューブが無くなり立ち往生してしまったり、ちょっとの点検不足が 大事を招いて脱落する事も…

 

自転車と言う自らを動力とする乗り物でそんなサバイバルに挑む、自己発見のレースイベント。
結果だけでなく、その最中の1コマ1コマに自分と向き合う瞬間があり、参加者の数だけドラマがあります。

僕自身は「まだまだ成長できる自分」を見つけることができました。
足りない部分や 弱い部分を感じたレースですが、それを克服すればステップアップできるという風に考えられますし、目標が明確に見えている今、それは不可能ではないと感じています。

毎回、どんな自己発見があるのか楽しみでやめられません(^ ^)

 

 

非日常の刺激に溢れ、辛苦と感動を与えてくれる不思議な魅力をもったこの「王滝」を、いつの日かお客様と一緒に参加し、共有する事を夢見て、大好きなGIANTのバイクで、また来年も超戦します!

 

 

長文お読みいただきありがとうございました。
まだまだ文章では書ききれないのですが、更に詳しい内容はお店でお話ししましょう。
ご興味を持たれた方はもちろん、「俺も王滝走ったぜ!」なんて方もウェルカムです♪

 

次回、乞うご期待!

 

 

2016 9/18 Self Discavery Adventure in王滝 100km プロフィール

機材紹介

2016 ANTHEM ADVANCED 27.5 (L)

Fサス:ROCKSHOX SID RL 100mm 60psi (25%sug)(リバウンド7click閉め)
Rサス:ROCKSHOX モナーク RL 130psi (25%sug)(リバウンド5click閉め)

ブレーキ:SRAM XOTRAIL F170mm/R160mm
Bパッド:ASIMA セミメタル
Bフルード:WAKO’s  SP-R

駆動系:SRAM XX1 (1×11) クランク170mm / 34t×10-42t
チェーン油:WAKO’s チェーンルブリキッド パワータイプ

ホイール:GIANT P-TRX0 (2014)
タイヤ:IRC ミブロ マラソン チューブレスレディ 27.5×2.25 (25psi/1.5bar)
シーラント:Stan’s レースシーラント (多め)

ハンドル:GIANT CONTACT SLR XC FLAT 690mm/9°/5°
グリップ:GIANT TACTICAL SINGLE LOCK-ON (Yellow) ←Newモデル
ステム:GIANT CONTANT 100mm/8°

サドル:Liv CONTACT SL FOWRAD
シートポスト:GIANT CONTACT SWITCH (125mm)

重量11.2kg

 

ライダー&ギア

池山 冬馬 (イケヤマ トウマ)
身長172cm、体重58kg(9/16)、サドル高69~71cm

ヘルメット :OGK KABUTO ZENARD
アイウェア :GIANT 調光
レインウェア:ペルミュール クリアレインジャケット(S)
ジャージ :GIANT ELEVATE COLECTION (M)
インナー :パールイズミ 長袖防風インナー 0℃対応
ソックス :GIANT アクティブコンプレッション & GIANT 3Dレッグウォーマー
シューズ :GIANT FLUX (42)

 

 

その他、補給&トラブル対策

  • バックパック:CAMELBAG
  • ハイドレーション:グリコ OXYDRIVE 1.5ℓ (200ml余)
  • 補給食:パワージェル3+1
  • チューブ2本(サイドカット用タイヤブートも添えて)
  • CO2ボンベ×3
  • 六角レンチ3,4,5,m/T25
  • ディレーラーハンガー
  • チェーンカッター/ミッシングリンク
  • マイクロポア(切り傷貼り合わせテープ)

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