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その走りにすごくワクワクしました。新型TCR2020年6月15日

ようやく、今治店にやって来ました新型TCRについて、

前回は車体の仕様や前作からの変更点をご紹介しました。

車体を眺めているだけでもワクワクする新型TCRは、

実際に走ってみても本当にワクワクするのか?

非常に気になります。

 

そこで今回は、わたくし今治店スタッフの川村による、

TCR ADVANCED PRO 1 DISCの実走行編です。

今回、試乗したTCRのフレームサイズはSサイズです。

身長163cmのスタッフ川村は、普段はXSサイズに乗っています。

試乗をするにあたり、ハンドルの高さ、サドルからの距離、サドル高については、

所有する車体に合わせて調整しましたが、

【フレームサイズが少し大きめの車体によるインプレッション】

という点を予めお伝えします。

今後、機会がございましたら適正サイズによるレポートも出来ればと思います。

 

このバイクを試乗したのは、外出自粛要請もひとまずは解除された5月末。

自粛要請期間中は、自転車通勤+ローラー台+筋トレ、そしてギター練習の日々を過ごした私。

自転車通勤以外のルートで、純粋にサイクリングするのもこの日が約2か月振りでした。

コロナウイルス感染予防対策について、念のために出来ることはしっかり準備して、

新型TCRと共にサイクリングへ出掛けました。

①日頃の体調変化に気を配る。

まずはこれが一番大事です。

サイクリングに出掛ける計画があったとしても、

体調が優れない時は無理をせず、身体を休めることが最優先です。

②ライド中もスポーツ用マスクを携行、アルコールハンドジェルを持参。

ソロライド中でもトラブルで困っている人が道端に居たりする際は、

声をかけて、必要であれば手助けをするように心掛けています。

その際にもこういった準備をしておくと、お互いが安心できるかと思います。

気温と湿度が上昇すると、マスクを着用した状態での運動は熱中症リスクが高まります。

これからの季節は、その時々の状況に合わせて、臨機応変に対応しましょう。

③人の多く集まる場所、お店への立ち寄り方。

今回の様に、1人で走ることだけを目的とする場合は立ち寄る機会も少ないですが、

もしお店に立ち寄る際には、携行しているマスクを装着します。

また、グループなどで比較的小さな店舗に立ち寄る際は、

一度に全員で入店しないようにするなどの方法もあります。

④補給に必要な物をなるべく持参する。

これからの季節は、ボトルを2本装備するのが理想的です。

(この日はボトル1本でしたが)

⑤走行中は集中して、油断をしないこと。

普段から乗り慣れている愛車でないことも含めて、無理は禁物です。

怪我などをせず、無事にお家へ帰るまでがサイクリングです。

けっして病院などのお世話にはならないようにしましょう。

⑥帰宅後は食事で栄養を摂り、身体の回復を最優先する。

ライド中の運動強度が高い場合、ライド後の数時間~数十時間は免疫力が低下します。

帰宅後は、すぐに人の多い場所へ出掛けることも控えましょう。

 

 

外出自粛要請が段階的に解除されても、ウイルスがいなくなった訳ではありません。

わたしも出来る範囲で、ペダルひとこぎを大切にしながら、

サイクリングを楽しんでいこうと思います。

 

それでは、気を取り直しまして本編に参りましょう。

久しぶりのサイクリングについて、感じた事を1つ申し上げます。

「見慣れた景色や道、風を切って走る感覚、全てがとても新鮮」

これは2カ月の自粛期間があったからこそ、味わえた感覚なのでしょうね!

この日のルートは来島海峡大橋からスタートし、大三島外周を走行しました。

愛媛国体の自転車ロードレースにも使用された大三島外周ルート。

わたしは海を左側に眺めることが出来る、時計回りが好みです。

(尚、国体のコースは半時計周りでした。)

1周すると約45kmある大三島外周は、南側に起伏が多く、

知らずに迷い込んだ初心者サイクリストは、かなり苦しめられる本格派向きルート。

くれぐれも免疫力を低下させるような無理は禁物です。

反対に北側ルートは平坦路が多いものの、風の強い日はバイクの空力性能も試されます。

この新型TCRの性能を試すには最高の環境です。

実は風の強い日には、平坦路区間の多い北側の方が辛いという方もいます。

時計周りで1周すると、前半の起伏で脚を削られた後の向い風。

そうなんです。

この日はまさにそんなコンディションでした(汗)

改めて思いました。

自粛期間中もローラー台でトレーニングを続けていて、本当に良かったと

 

さて、ここからは車体の印象をお話しします。

サドルに跨り、ペダルをこぎ出してすぐに感じました。

もっと速く、もっと遠くへという想いでペダルを踏む脚に力を込めると、

実にハッキリと、このTCRはその性能を示してくれます。

途中、短い登りをいくつか越えるたびに、

「今度はあの山岳ルートへ走りに出かけたら面白そう!」

といった、イメージも自然に湧いてきます。

それだけペダルをこぐことに夢中になってしまう、ワクワクするロードバイクです。

前作TCRと同様に、登り坂での走りの軽さが優れていることはもちろんですが、

坂を登り切った後の平坦路や、坂の頂点からから下り坂に入るまでの短い間など。

そういった場面の再加速が驚くほどスムーズです。

「ふぅ、登り切った~」という、ひと息を入れる必要さえも感じません。

カーブが複数続く区間に入ると、短い直線の先に見える次のカーブの入口が、

いつもの感覚よりも、わずかに早く迫ってくる(様な気がする)場面がありました。

おそらく時間にすると、コンマ数秒程度の差かと思います。

これにつきましては、走り慣れているルートだからこそ感じた点に加えて、

通勤ルート以外で屋外を走るのも、2カ月振り+未体験のバイクということも影響します。

ですが。

普段から乗っているバイクと比較しましても、

新型TCRがスムーズで、ロスの少ない走りをしているのは確かです。

さらに。

そんなわずかな差が生じる場面でも、バイク操作が破綻するような感覚はなく、

車体をしっかりコントロールできる余裕と安心感があります。

ロードバイクでの走行をある程度経験されてきた方でしたら、

この車体が持つ運動性能を高い速度域でも体感できる筈です。

油圧式ディスクブレーキ、新型フレーム、新型ホイールなど。

車体の隅々に至るまで、ガラリと変わった9世代目TCRですが、

実は前作の8世代目登場時に試乗をした際にも、強い印象を受けました。

今回はそのときの気持ちを数年ぶりに思い出しました。

変ったところは多いものの、クセがなくて乗りやすい。

これまで通りの「TCRらしさ」をしっかりと受け継いでいます。

 

比較的ゆっくりとしたペースで走行している際も、

前作のTCRよりはDEFYに近い直進安定性の良さを感じます。

速度域が増すと、今度はPROPELの様なスピードの伸びを体感できます。

これまでのTCRと比較すると、なかなか未体験の走行感を覚えます。

平坦路での巡航性能が大きく向上し、TCRが得意とする登坂も抜群に軽い。

これらが走ることに対してどれ程の利点になるのか?

おそらく熱心なサイクリストの方ほど、お解り頂けると思います。

 

もしも、この車体が私の体格に適応するXSサイズになると…

➀フレーム全体がコンパクトになる事によって、僅かに乗り心地が硬くなる。

ただし、フレーム製造行程に使用される技術も変更されている為、

以前までの製法と比べて影響は少ないと予想してます。

②フレームサイズが体格に合う事で、全体的な操作感もさらに向上する。

Sサイズのフレームでも、普段乗っている車体をもとに、

数字上のセッティングを同じ状態にすることは出来ますが、違和感が残ります。

乗り込めば乗り込むほど、フレームサイズによる差は大きくなります。

これを別なものに例えますと、

ワンサイズ大きいのランニングシューズを、取りあえず中敷きでフィッテイングし、

マラソンを走っているイメージでしょうか。

ランニングはもちろん、ウォーキングでも。

サイズが足に合わないシューズは、ひどいと踵が擦れたり、血豆が出来たりしますよね。

あれは地味に痛いものです。

サイズが異なるフレームサイズでも、セッティング次第でペダルをこぐことは可能ですが、

走る楽しさ追求しようとすると、適正なフレームサイズをお選び頂くことが1番です。

 

このフィット感について、フレームサイズとは関係のないことですが、

今回の試乗であともう少し…と感じた部分が一つだけあります。

それは、油圧式ブレーキシステムを備えたレバーのブラケットが、

私の手に対して若干太い点です。

手の大きさや指の長さ、握りの好みで個人差はありますが、

普段使用している機械式ブレーキ用のレバーブラケットに比較すると、

若干、指の掛かりが浅い印象を受けます。

走行にそこまで大きな支障はないものの、手が小さい方や指が短い方ですと、

ショートリーチタイプのST-R8025にカスタマイズするのもオススメです。

(別途費用がかかります)

 

 

これらのことも踏まえまして、

新型TCRに搭載される新しい部品類の使用感もお伝えします。

まずはこちらの新型サドルFLEET SL

実を申し上げますと、こういったショートサドルについては、

個人的にそれほど必要性を感じておりませんでした。

よくあるサドルを引っ掛けるタイプのサイクルラックを使用する際にも、

何となく心配ですし。

もちろん、この様に掛けられていますが、

車体のフレームサイズやサドル高によっては、掛ける位置がサドルn前寄りになる為、

ギリギリ感もあります。

今回は詳しく触れませんが、実業団レースなどを走る方の中には、

レギュレーションの都合上、ショートサドルが重宝する場合もあるでしょう。

他に思い付く点としては、

乗り降りの際にレーサーパンツが引っ掛かりにくいことでしょうか。

ところがです。

座ってペダルをこいでみたところ、このサドルが欲しくなりました。

サドル本体が適度にしなることも影響しているのでしょうか、

その若干幅広な見た目に似合わず、ペダルをこぐ動作を妨げません。

なかなかクッション性にも優れています。

現在使用しているサドルが、経年劣化によりフィット感も低下しているとはいえ、

このショートサドルに対する印象が少し変わりました。

 

ADVANCED PROグレードから装備されている新型ホイールについては、

車体本体よりも先に、当店ブログでもご紹介していましたが、予想通りの走りでした。

今回、このホイールに採用している技術的要素には、

当社最高級ブランドCADEXのホイールが関係しています。

下の写真はSLR 1 HOOKLESS WHEELSYSTEMと、

CADEXのハブ内部構造の比較です。

(赤いグリスが付いている方がSLR1)

世界トップレベルのレースを想定し、

厳しい実戦の中から開発されたCADEXホイールは、

正真正銘の「軽さと剛性の塊」です。

「この硬さを踏めるものなら、乗れるものなら乗ってみな!」

という印象がとても強い高性能ホイールです。

生半可な走力や熟練度で普段のライドに使用すると、

肉体的に疲れてしまう、そんなホイールセットです。

もちろん、十分なトレーニングを積んでいる方でしたら、

ここ1番!というレースシーンに、

ぜひとも投入して頂きたい、決戦用ホイールです。

それに対しまして。

今回乗ったTCRに装備されているSLR 1 HOOKLESS WHEELSYSTEMは、

我々ホビーライダーの脚力を、最大限に活かすためのチューニングが施されています。

かなりの剛性アップは実感しますが、乗り易さを犠牲にせず、

こぎ出しも非常に軽くて、きもちよく回転します。

普段、スタッフ川村はこのホイールの前作リムブレーキモデルを使用していますが、

そちらと比較した際、もうひとつ驚いのが横風での安定感です。

これまでの旧型は、リム側面に風を受けると横に弾かれる様な不安定さもありました。

新型ホイールではそういった不安定さが殆ど無く、

不意に強い横風を受けても挙動が予想しやすい為、コントロールに余裕があります。

ディスクブレーキ仕様のリム形状が、リムブレーキ仕様と若干異なる点はありますが、

リムの設計が変更された事により、空力性能について向上している事は確かです。

また、前輪周りの空力性能については、フロントフォークの設計が変更されて、

ホイールスポークとの間隔が拡大されたことにより、

この部分の風抜けが良くなったことも影響しているのでしょう。

加えて、ディスクブレーキモデルならではのメリットもあります。

リムブレーキモデルと異なり、ブレーキシューの摩擦に耐える構造を必要ない為、

結果としてリムそのものを軽量化できます。

加えて、ブレーキの使用でリムが擦り減らないということもポイントですね。

実際にリムからタイヤを外してみるとわかりますが、

ディスクブレーキ仕様の新型フックレスリムの薄さには驚きます。

ホイールの心臓部ともいえるハブ本体に採用する新型ラチェット機構も、

従来よりこぎ出しの掛かりも素早く、それでいて非常に低摩擦。

脚を止めて空転する際は、リムの空力性能と相まってよく回ります。

このホイールセット。

新型TCRの性能向上に大きく貢献しているのは間違いありません。

あまりにも軽く、ロスの無いスムーズな走りをするため、

頭の中で「な~ん~て~滑らか~♪」というCMの歌も聴こえてきます。

標準装備されるCOURSE 1タイヤは、

グリップ力と転がりの軽さのバランスが良く、TCRの走りを引き立ててくれています。

もしも、ヒルクライムレースなどで本格的にタイムを狙うならば、

CADEXの23Cチューブレスタイヤに交換することで、

ワンランク上の走りができるでしょう。

※ SLR 1 HOOKLESS WHEELSYSTEMには、そのリムの構造上、

必ずジャイアントが推奨するタイヤのみを装着して下さい。

 

最後に。

ホイールセットのご説明でも触れていますが、

乗り手の熟練度に対して、あまりに過剰なフレーム剛性は、

その車体がどれほど軽量で高性能だとしても、走ることに効果的とは言えません。

乗る方に対してあまりにもフレーム剛性が高すぎると、

ライド中に疲れた時、まるで鉄の塊にでも乗っているかのような苦痛を味わいます。

比較的体格が小さくて体重も軽い方ほど、その影響は大きくなります。

数あるカーボンロードバイクの中でも、このTCR ADVANCED PROは、

剛性と軽さ、快適性のバランスが非常に良いという特徴があります。

もともとはレースシーンを想定された設計のフレームではありますが、

ロードバイクにある程度慣れている方でしたら、

休日のサイクリングからホビーレースまで幅広く対応します。

 

ご自身の力を十分に発揮できる車体を選んで頂く事も、

走りを楽しむ為のひとつの要素です。

もちろん、サイクリングは機材を扱うスポーツなので、

特別なモデルに乗ることがモチベーションを高めるという要素もあります。

だいぶ長くなりましたが、今回のお話。

大切な愛車を選ぶヒントにしていただけると幸いです。

 

ジャイアント/リブストア今治