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【ロードバイク】ディスクロードって重いの? 2021年モデルTCRで登ってみました。2020年8月17日

今年の春。フレーム設計や使用するパーツ類を一新した9世代目TCRは、

レーシングモデルに求められる全ての性能が進化しました。

なのですが…。

「ディスクブレーキのロードバイクって重いよね?」

「やっぱり車体は少しでも軽い方がいいんでしょ?」

といったご質問を頂くことがございます。

 

そんなご質問について、1つお答え致します。

大切なのは、

「車体のどの部分に、その重量が配置されているのか?」

「どれだけ効率よく、ペダルをこいだ力をタイヤへ伝えるか?」

この2つが、走行する際には大きく関係します。

おっと。

「そうは言われてもねぇ?」という声が聞こえてきました。

 

まず、ディスクブレーキ搭載モデルと従来のキャリパーブレーキ搭載モデル。

同じグレードの部品で組まれた完成車の重量を比較してみましょう。

はじめに前作8世代目TCR

ちょうどディスクロードバイクが普及し始めた頃のモデル。

2018年モデル

TCR ADVNACED PRO 1 DISC

7.7kg(Mサイズ)

 

2018年モデル

TCR ADVANCED PRO 1

7.0kg(Sサイズ)

この頃は700gの重量差がありました。

これは確かに重いですね。

 

続きまして、新型の9世代目TCRで比較してみましょう。

2021年モデル

TCR ADVANCED PRO 1 DISC

7.4kg(Sサイズ)

 

2021年モデル

TCR ADVANCED PRO 1

7.1kg(Sサイズ)

以前よりも軽くなりましたが、300gの重量差があります。

カタログや当社HP記載の車体重量は、ペダル未装着のものです。

 

この300gについて、自転車以外の物でも比較してみましょう。

600mlのサイクルボトル。

水を500mlいれると、重さは588gあります。

最新機種のスマホは202g(ケース付きだと270g)

スタッフ川村が愛用するガラ携は117gでした。

 

わずかな軽さを追求するなら、サイクリングの際はガラ携もありなのでは?

な~んてことは置いておきまして。

 

車体の重量は、ロードバイクの走りを構成する要素の1つでもあります。

当社を含め、様々なメーカーが数十gの軽量化にも真剣に取り組んでいます。

では。

ディスクブレーキモデルは走りの軽さで劣っているのか?

百聞は一見に如かず。実際にわたくしが登ってみました。

 

コースは観光スポットとしても名高い、亀老山展望公園までの2.7km

このコースを休憩なしで10往復、獲得標高2300mを登りました。

実を言いますと、この日から1週間前。

普段わたしが乗っているPROPELで、同じく10往復しています。

走行データが、スイカを切って並べたようになっています。

尚、参考と致しまして。

このPROPELの重量も計測してみました。

そして今回乗ったTCRの重量はこちら。

400gの重量差があります。

(どちらもボトルケージ2個、ペダル、前後ライト、ベルを装着して計測)

 

念のため、お伝えしておきます。

エアロロードのPROPELは、高い速度域を維持することが得意な車種です。

速度域も低く、平坦路とはペダルをこぐ際のコツも異なるヒルクライムで、

この2台を比較するのは、少しだけ可哀そうにも思います。

そういった点も含めまして、

2000m以上登るヒルクライムでは、どれほどの違いを感じるのか?

ご参考にして頂けると幸いです。

 

それなりの距離を登るにあたりまして、ペース配分を意識します。

全力でこのコースを1本登る際の感覚が10割としまして、

1本あたりを7割強の負荷で登るように意識します。

もちろん、感覚に頼るだけではなくパワーメーターも活用致します。

 

前回と同様に朝6時半からスタート。

PROPELで登った時と同じく、1本あたり11分から11分30秒を目安にします。

ちなみに、こちらはPROPELで登った1本目のデータです。

脚がフレッシュな1本目こそ、想定タイムより速く登ってはおりますが、

それ以降は11分を切ることなく、最終の10本目に至っては、

もはや消化試合の状態です。

 

この後に出勤して、午後から若干脚にきていた事は秘密です。

そして。

新型TCR ADVANCED PRO 1 DISCで挑んだ1本目。

オーバーペースにならないように意識して登ったのですが…

LAPデータを確認してみてビックリです。

想定タイムより20秒ほど速い! 前回1本目よりも10秒速い!

20秒分を余計に踏んだ感覚は全くないのですが…。

この新型TCR。

急傾斜区間での走りが軽いことはもちろんですが、

緩斜面区間に入った際、非常に素早く。

且つ、とても滑らかに車体が前へと加速してくれます。

前回より400g重い車体だなんて感じません。

その理由は、車体の重量配置にもございます。

キャリパーブレーキに対してディスクブレーキの部品は、

構造上どうしても重量が増します。

ですが、それらの重量はホイール中心付近に配置されます。

その為、ホイールが回転する際の勢いには殆ど影響しません。

さらに。

ディスクブレーキ化によって、ブレーキに対するリムの強度が必要なくなり、

リムそのものを大幅に軽量化することが可能となりました。

ホイールは、外周に近い部分に重量があるほど、

ヒルクライムでペダルをこいだ際の重さにも直結します。

 

その後も11分をターゲットにして登りますが、

前回よりも20秒から30秒速く登れてしまいます。

中盤、「今夜の金曜ロードショー、トトロ楽しみだな~」と、

気を抜いて登った時でようやく11分台に入ります。

途中、6本目の前に自販機で給水ピットイン。

さすがに8時を過ぎると太陽の位置も高くなり、

日陰が少なくことでかなりの暑さを感じ始めます。

そんな時には下りに入る前に、ボトルに入った水を身体へかけます。

こうすることで、走行風を利用し、身体を冷却することが出来ます。

PROPELで登る際は、後半の標高1000m分で疲労を感じ始め、

明らかにペダリングパワーも低下していましたが、

今回は脚にかなりの余裕が残っております。

ペースを自重しなければ、ここからタイムアタックが出来る余裕を感じます。

それをやってしまうと、この後に待っている仕事も心配になります。

一定ペースを刻むことを意識しつつも、

結果として、残り4本は10分台で登り切っていました。

(8枚上の写真をご参照ください)

ちなみに。

2300m分を登るという事は、同じ距離を下ることにもなります。

キャリパーブレーキに対して、それほど不便を感じない私ですが、

油圧式ディスクブレーキの操作性については、素晴らしいの一言です。

日頃、長い下りにおいて握力をどれだけ消耗しているのか、

非常によく理解することができました。

このディスクブレーキ特有の症状として、

音鳴りを気にされている方もいらっしゃると思います。

今回も走行中、空気中の水分や埃がブレーキローターに付着すると、

「フォワン、フォワン」という音鳴りが少しあるものの、

ブレーキの効きが低下することはありません。

殆どの場合、そのままブレーキをかけていると音は消えます。

 

「ディスクロードは重いから…」と、ご購入に一歩踏み出せない方。

それは過去のお話です。

カタログ上の数値や、計測器にのせて軽いバイクを選ぶより、

実際に乗って走って軽いバイクを選ぶことも大切なのだと、

私自身、改めて感じる標高2300mになりました。

 

こちらの試乗車は、実際に今治店にてご試乗頂くことも可能です。

お店のすぐ近くには、1kmほどの坂道もございますよ。

皆様のご来店、スタッフ一同、心よりお待ち致しております。

 

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