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【スタッフのメンテナンス】チェーンが伸びるってどういうこと?2022年6月9日

こんにちは。今治店スタッフの川村です。

点検、修理で自転車店に愛車をお持ち込み頂いた際、

「チェーンが伸びている」というお話を耳した経験はございませんか?

「ふんぬっ!」

いやいや。

金属の塊が簡単に伸びるわけがない!

それなら、

「チェーンが伸びるってどういうこと?」

という疑問を抱かれた方もいらっしゃるのでは?

そこで。

今回はこの「伸びる」について、詳しくご紹介します。

まずはこちらをご覧ください。

今年1月の納車から半年。

スタッフ川村が乗り込んだミニベロのTEN

最近、「踏み込みの感触がイマイチだな~」と感じていました。

ちょうどいい機会ですし、チェーンの状態を確認します。

新車からどれぐらい変化しているのか、

店頭にございます、新車のTENと比較します。

計測の際は専用ツールを使用します。

伸び具合を2段階で確認することが出来まして、

0.5→0.75の順番で使用します。

新車のチェーンではご覧のとおり、

0.5で工具が引っ掛かります。

お次はスタッフ川村のTENで計測します。

0.5で専用ツールがあっさりと入りました。

さらに0.75でもスッカスカの状態です。

これはいかんですね。

つぎに交換に使用する新品のチェーンと比べてみます。

分かりやすいように、

真っすぐ地面に向けて垂らしてみましょう。

まずは台座の水平を合わせまして…

アーレンキーにチェーンを通してぶら下げます。

左が古いチェーン、右が新品チェーンです。

あらかじめリンク数は合わせてあります。

(リンク数についてはこの後出てきますよ~)

中間地点で差がわかります。

一番端っこはこんな具合です。めっちゃ伸びてます。

さっさと新しいチェーンに交換することに致しましょう。

 

ここで。

「えっ、伸びたら切って短くすればいいじゃん!」

と思った方!

ロードバイクやクロスバイク、そしてMTBなど。

多段式変速を有するスポーツバイクの場合、

スプロケットやチェーンリングの大きさ、フレーム設計など、

その車体ごとに適切なチェーンの繋ぎ数、リンク数を決めます。

(シマノマニュアル&技術資料より)

新品のチェーンは少し長めにパッケージされているので、

車体に合わせてリンク数を調整します。

交換修理の際は、シマノ製チェーンを使用します。

ちなみにミニベロTENの場合。110リンクが適正です。

伸びたからといって単純に短くしてしまうと、

使うことのできないギアが生じるほか、

新品の時のカッチリとした踏み味は戻りません。

では、「チェーンが伸びる」とはどういう事なの?

チェーンの部品を細かく分けて、原因を探ってみましょう。

レッツ分解!

なお、ここで使用したチェーンは10速用です。

(弊社の完成車にはじめに装備されているKMC製)

8速,9速,11速用で各部寸法は異なりますが、

どちらも部品構成は同様です。

◇アウタープレート(の外側面)

このアウタープレートに挟まれているのがこちら↓

◇インナーリンク

このインナーリンクを細かく分けてみます。

◇インナープレート(の外側面)

◇リンクローラー

そして、リンクを繋げているのがこちら。↓

◇リンクピン

これらの部品の中で、

「チェーンの伸び」に関係している箇所。

それは、インナーリンクを構成する部品です。

こちらはインナーリンクの内側面。

リンクローラーと接触する部分ですね。

このインナーリンクとリンクローラーが、

動作と共に少しづつ摩耗していきます。

摩耗が進むにつれて隙間が大きくなり、

リンク自体に不要な「ガタつき」が増してきます。※

リンク1か所で生じた隙間は僅かでも、

100個以上のリンクで構成されたチェーン1本分になると、

全長が「伸びている」様に見えます。

つまり、チェーンの伸びとは…

『チェーンの摩耗』なんです。

と、いうことはですよ。

伸びている様に見える原因がリンクの摩耗でしたら、

反対に「縮んだ」様にも見えるのでは?

そこで。

新品チェーンと古いチェーンを床に並べまして。

(汚れている方が古いチェーンです)

古いチェーンを壁側に向けて押してみると…

垂らして比べた時の差と同じぐらい、

古いチェーンの方が短くなりました。

リンクの摩耗、恐るべし。

スポーツバイクの機能上、

新品のチェーンにも設計による「あそび」があります。※

このあそびを設ける事で、チェーンがスムーズに動きます。

ところが。

摩耗によって生じる「ガタつき」が増えると、

段々とギア周りに不具合が発生してまります。

※「あそび」→部品の機能上必要な余白

※「ガタ」→部品の摩耗や劣化で生じる隙間

また、消耗したチェーンを使い続けてしまうと、

スプロケットやチェーンリングも摩耗しやすくなり、

そちらの交換時期を早める原因になります。

わかりやすい症状と致しましては、

『踏み込んだ時にギア歯をチェーンが乗り越えてしまう』

チェーン飛び、歯飛びという症状が頻発するようになります。

とくに!

『新品チェーン+古いチェーンにより摩耗したスプロケット』

この組み合わせは要注意です。

【追記】

私のTENもトップギア(一番小さいギア)が摩耗しており、

チェーン交換後に症状が出ました。

TENに標準装備されているスプロケットCS‐HG41

こちらはトップギア1枚のみの交換も可能です。

(トップギア以外については丸ごと交換になります)

 

消耗品である以上、いずれは交換が必要になるものですが、

部品の寿命を延ばす方法もございます。

それは、チェーンやギアの洗浄と注油を行うことです。

たとえば、このように汚れが付着したチェーン。

表面や隙間に付着した黒い汚れは、

劣化したオイル、砂やほこり、

そして部品が摩耗した際の金属片などでできています。

汚れたチェーンのインナーリンクはこんな感じです。

あまり汚れがひどい状態ですと、

内部までオイルが浸透しにくくなります。

また、チェーンオイルが乾いてしまうと、

チェーンやスプロケットとの間に生じる摩擦が増えます。

その結果、部品の消耗も早くなります。

チェーンにしっかりとオイルを浸透させる為にも、

オススメしたいのが洗浄を含めたメンテナンスです。

洗浄液で汚れをしっかり分解。

リンク奥に溜まった汚れは中々に頑固ですが、

出来る限り、浮き出る汚れを除去します。

最後に残った洗浄液や水分を拭き取り、

新しいチェーンオイルを注油します。

注油後はいきなり走行せず、

少し時間を置くことがポイントです。

ジャイアントストアでは、

ギア周り洗浄と注油、基本点検を含めまして、

『ドライブトレイン簡易洗浄』メニューもご用意しております。

詳しくはこちら☛MAINTENANCE

比較的軽度の汚れでしたら、ぜひおすすめのメニューです。

 

如何でしたか?

皆様も時々チェーンの状態を確認して、

快適なサイクリングを楽しんで下さいね!

 

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