ジャイアントストア今治
【スタッフの製品紹介】CADEX BoostサドルとCADEX AMPサドル2025年12月10日
こんにちは。今治店スタッフの川村です。歴代の製品ともに多くのユーザー様からご好評いただいているCADEXの高性能サドル。わたしは2021年にそのシリーズ初代にあたるCADEX Boostを購入しまして、かれこれ4年近く使用してきました。
テールライトやサドルバックをワンタッチで装着可能なGIANTオリジナル規格「UNICLIPシステム」にも対応し、ユーザービリティにも優れているCADEX Boostサドル。149mm幅というワイドな座面を採用している特徴などから、男女問わず多くのユーザー様より高評価をいただいております。
そんなCADEX Boostサドルを使用してきた私ですが、今年になってから何となく違和感を抱くようになっていました。人間の身体は徐々に変化していくものですし、それまで使い慣れた機材であっても、ふとしたきっかけで感覚の変化は起こり得るもの。というのが、これまでの私の経験にもあります。
そんな理由から、CADEXのロード用サドル2作目となる、CADEX AMPサドルを今年7月に購入しまして、日々の自転車通勤からとトレーニングライド、ヒルクライムレースなど。トータルで4カ月間ほど使用してきました。今回のお話はこのCADEX AMPサドルと、これまで長らく使用してきたCADEX Boostサドルについて、個人的な視点から製品紹介とインプレッションをお送りします。
お話の後半では、せっかく大枚をはたいて購入したCADEX AMPサドルが、一時的にフィットしなくなってしまった事にも触れております。スポーツバイクのサドルには、ただ座る為の椅子としてだけではなく、ライダーとバイクの接点として非常に重要な役割が備わっています。製品のご購入を検討中の方にも、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
ここからは2つのサドルを比較しつつ、実際の使用感を交えながらお話を進めていきます。
◇ CADEX Boostサドル
【スペック概要】
Width : 149mm
Length : 246mm
Weight : 138g
◇ CADEX AMPサドル
【スペック概要】
Width : 145mm
Length : 245mm
Weight : 129g
この2つの製品について、特質する違いはサドル幅、そして座面形状です。
サドル全体がどちらかと言えばフラット気味で、かつ幅広な形状を採用しているのがCADEX Boostサドルです。それに対しまして、CADEX AMPサドルは全長も幅も少しだけコンパクト。座面を横からみると中央付近から後方にかけて大きくカーブした形状を採用しています。なお、CADEX AMPサドルのように座面のカーブ具合が大きなサドルは、使う人の身体の柔軟性や筋力、装着するバイクのハンドルとサドルの位置関係などをふまえて、サドル角度を調整することも大切です。
ペダリングの際、内股と接触する辺りの形状もそれぞれ異なります。CADEX AMPサドルについてはより鋭角で絞り込んだ形状を採用していることが判りますね。
座面のクッション性を高めるため、どちらの製品にも流動性の高いCADEX専用ポリウレタンエラストマー粒子をパッド内部に配置しています。これによって広い範囲に圧力を分散することで、快適な乗り心地を提供します。
わたしの場合。CADEX Boostサドルのクッション性自体には不満は無かったのですが、使いはじめた当初から1点だけ気になっていたことがあります。それは、ペダリングのときに生じる内股(脚の付け根付近)とサドルの接触です。
気になっていた場所はちょうどこの辺り。ライドに出かける際、必ず違和感が出るというほどでは無いものの、数時間に及ぶサイクリングになりますと、サドルと接触する内股の皮膚をきゅっと抓るような痛みが出ることもありました。そんな時でも、皮膚そのものにはダメージはなかったのですが、少々困っていた問題がもう一つ。
複数所有するビブショーツのインナーパッドについて、ちょうどこの付近の縫製がほつれてしまうことが多々ありました。ちなみにこの縫製のほつれについて補足しますと、わたしの周囲でCADEX Boostサドルを使用している数名の方からも、まったく同じ悩みを耳にしたことがあります。とはいえ、そういった多少のマイナス要素があったとしましても、長年使い続けるぐらいに総合評価の優れたサドルだと言えます。なお、CADEX AMPサドルに交換して以降、内股付近に生じていた問題は解消されました。
座面の中央部分に浅い溝を配置しているCADEX Boostサドルに対し、CADEX AMPサドルはベース自体を大きく切り取ったセンターカット形状を採用しています。これにより、組織の柔らかいデリケートゾーンに加わる圧力を効果的に軽減します。この形状の違いは、人によってサドルとの相性を大きく左右する要素になります。デリケートゾーンの圧迫によるトラブルが特に気になるような場合は、CADEX AMPサドルのようなセンターカット形状を好む傾向があります。
なお、CADEX AMPサドルのセンターカット形状は、着座時における快適性とは別のメリットも与えてくれます。それはサドル角度を微調整したいときの作業性の良さです。例えばわたしのTCRを含めて、GIANTやLivがラインナップするパフォーマンスモデルに多く採用されている、ボルトによる角度調整機構を備えたシートピラーです。
このシートピラーはサドル後方の下側にある固定ボルトを緩めた状態で、サドル前方の上側にあるボルトの締め込み量を調整。最後に下側の固定ボルトを締め込んだ際、任意のサドル角度に調整することが出来る仕組みになっています。
この作業について、よろしければCADEX Boostサドルに交換したときの記事もご覧ください。
CADEX Boostサドルの場合は、サドルベースとレールの狭い隙間から角度調整ボルトを回す必要があります。例えば最低限の工具しか持ち合わせていないライド中など、僅かに角度調整をしたいときには結構面倒なんですよね。
それに対しまして、センターカット形状を採用しているCADEX AMPサドルは、この角度調整ボルトにアクセスがしやすいというメリットもあります。
ロードバイクのパーツとしてはやっぱり気になるのが重量ですよね。両者の重量差はカタログ上で僅か9グラム。私自身、CADEX AMPサドルに交換して得られる軽量化にさほど期待をしていませんでしたが、実際に走ってみると意外や意外。きつい登りのダンシングでバイクを左右に振ったときなど、あきらかに軽快さが増していることに気づきました。
CADEX Boostサドルよりも全体的に少しだけコンパクトになったCADEX AMPサドルは、本体のパーツ構成と配置のバランスが良いのでしょうか。ほんの僅かな軽量化であっても、ライド中に体感する軽さに効果を発揮しています。UNICLIPシステムが廃止されたため、これまで愛用していた専用テールライト「Numen+ UNICLIP TL」に未対応となったところは残念ですが。それもまた、軽さに影響を与えていると思えば良しとしましょう。
さて、序盤に述べていた違和感に触れていきます。違和感の正体、それは「サドルの幅が自分には少し広いかも」という感触でした。
わたしの場合。CADEX Boostサドルを使用するときは後部寄りに深く乗るよりも、少しだけ前寄りに座るとペダリングがしやすい感覚がありました。これは先ほどお話した内股の接触を無意識に減らすポジションをとっていたこと。そして、今年になってバイクのフレームやコンポーネントの構成が大きく変わり、ライディングスタイル自体も変化したことが影響しています。
とくにギアコンポーネントを変更した影響は大きく、それまでの低いケイデンスを主体にした乗り方から、ケイデンスを少し高めた走り方に変わりました。そして、以前よりも少し深めの前傾姿勢をとることも増えたように感じています。
その結果、「座面の幅が有効的に機能する位置に座り、高回転なペダリングでも坐骨をしっかりサポートしつつ、もっとスムーズに脚を動かせるサドルが欲しい」という要望に行きつきました。そして候補に挙がった製品というのが、CADEX Boostサドルよりも少しだけサドル幅が狭く、形状も良さそうなCADEX AMPサドルというわけです。
では、CADEX AMPサドルに交換してどうだったのか? 平坦からヒルクライムの登りまで、よりスムーズにケイデンスを高めることができるようになりました。加えて、CADEX Boostサドルを前乗り気味でペダリングしていた時よりも、サドル幅をしっかりと活用できるようになりました。
サドル幅には骨盤(腰)を安定させる重要な役割があります。また、その形を含めてサドルとの相性は人によって異なり、骨盤の広さや体幹から股関節周りの筋力、柔軟性などによって合致する条件も異なります。そして重要なのは、ここまでのお話にありました様に、身体やバイクに何らかの変化が起きれば、サドルとの相性も変化するということです。
奇しくも、そんな変化は突然やってくることだってあります。
じつはCADEX AMPサドルを使い始めて3カ月ほどが経過した10月末。私は身体の故障が原因で、しばらく別のサドルを使用していました。股関節周りの筋肉と胸椎周辺の柔軟性が極端に低下していた影響なのでしょうか、CADEX AMPサドルの特徴でもある、大きくカーブした座面がどうにも合わなくなってしまったわけです。試しにCADEX Boostサドルに戻してみても感触がイマイチ。ちなみに怪我の原因は、春先に痛めた中殿筋をしっかりケアせず、時々痛みを感じながら半年過ごしたことで、蓄積したダメージがお尻から腰、背中まで広がってしまった次第。なんとも不甲斐ないばかりです。
それならということで、家にあったストックパーツの中から引っ張り出した製品がこちら。今となっては懐かしさを感じる、すでに廃版となった製品「Contact SL サドル」です。この製品の特徴は、バイクポジションに合わせて「フォワード」「ニュートラル」「アップライド」の3つからサドルを選択することが出来るというもの。
この時の私の身体の状態で、もっとも乗りやすく感じたのがこれ。CADEX AMPと同じぐらいか少し狭いぐらいの幅で、ほぼフラットな座面を採用している「ニュートラル」タイプ。昨今主流となっているショートサドルよりも、前後に長さがある特徴も、ひと世代前のロードバイク用サドルといった感じですね。
このロングノーズかつフラットな形状は、座る位置を強くホールドされない分、取り付けたそのままの状態ででも、ライド中に座る位置や骨盤の前傾、後傾にも対応しやすいメリットがあります。身体の故障と痛みで迷子になっていた私のお尻にとって、これが意外とフィットしたというわけです。別の言い方をしますと、座る位置をホールドされるのが苦手という人の場合。CADEX AMPサドルを含め、昨今のショートサドルはフィットしにくい可能性があるとも言えます。
それからひと月ほど経過した現在は、身体の感覚も少しずつ回復しており、再度セッティングを行ったうえでCADEX AMPサドルを使用しています。
たかがサドル、されどサドル。走りの質感や身体のパフォーマンスに関わるパーツ類というのは、つくづく奥が深いものです。なにが正解なのか、すぐには答えが出ないものもあります。試行錯誤しながら経験を積み重ねるのもサイクリングなのだということで、今回のお話を締めさせていただきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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