ジャイアントストア今治
【スタッフのサイクリング】今更ですがリムブレーキロードを電動式変速に組み換えました2025年1月16日
さあ、振り切るぜ ! こんにちは。今治店スタッフの川村です。当店のブログやSNSに登場する私のロードバイクTCRは、先代フレームセットの時に使用していた「いにしえのワイヤー引きスラム10速コンポーネント」を引き継ぎ、乗り始めてから1年が経過しました。
コンセプトは軽量性と低コスト。フレームの世代とかけ離れた古いコンポーネントに、じつを言うとシマノパーツも組み合わせた、キメラ仕様もといオリジナリティーのある1台。自分の愛車に限って申し上げれば、「性能の限界は自分のテクニックと気合で押し上げる」「リア変速は10速あれば十分」という、熱血硬派な考え方を心情に走り続けてきました。ブランドストアのスタッフがこれを言うと怒られてしまいそうですけどね。
これまで私が乗ってきたロードバイクのコンポーネント歴もざっくりご紹介すると…
シマノ ティアグラ4600(9速)
→ 初代スラム RIVAL(10速)
→ シマノ アルテグラ6700(10速)
→ シマノ デュラエース7900(10速)
※クランクのみアルテグラ
→ シマノ アルテグラ6800(11速)
→ なぜかもう1度シマノ アルテグラ6700
か~ら~の~
→ またまたシマノ アルテグラ6800
→なんやかんやで1周して初代スラム10速
といった感じでした。
「もう、訳わかんないよ ! 」
といったツッコミも入りそうですが。一応毎回なにかしら考えがあって、所有しているコンポーネントの中で組み換えを行ってきました。
これらのコンポーネントに共通しているのがワイヤー引き変速、いわゆる機械式変速という点ですね。日々のライドから休日のロングライド、そしてヒルクライムレースやエンデューロレースに至るまで、スタッフ川村は機械式コンポに然程不満を感じることが無かった訳です。
そんな「力こそパワー」な走りを嗜好としている私ですが。なんということでしょう。
愛車TCRに思うところがあり、昨年末に最新の電動式変速コンポーネントを導入しました。ディスクロード全盛期に突入しているこの時代において、
「予算を割いて電動式変速にする意味あるの?」
「ディスクロードを購入した方がイイじゃん」
と感じる方もいらっしゃるでしょう。
なので正直に申し上げます。
「川村に電流走る ! 」← 電動だけに
往年のリムブレーキ&機械式変速コンポが持つ唯一のメリット「軽量性」を電動化によって数百グラム失い、いまさらリムブレーキバイクに高額な予算を投じたとしても。はじめの組付けから調整、ライドの質まで、総合的には利点が遥かに勝ると感じました。これは電動式変速コンポや完成車の販促を目的とした方便ではなく、至ってマジな、走ることが好きな1人のサイクリストとしての感想です。
そこで。わたしが今回のカスタムに対して感じているメリット、僅かですがデメリットについてお話します。
【組み換え作業とメンテナンス性】
組付け作業の項数と時間については、機械式変速にかかるそれとは雲泥の差があります。機械式変速の場合、フロントおよびリア変速に関わるシフトアウターケーブル、そしてブレーキアウターケーブルの合計4本の長さと、各部の取り回しを調整します。
そういたしましたら、インナーケーブルにて変速レバーユニットから前後ディレイラーまで繋いで、変速調整する際はケーブルの初期伸びをとりつつ、一連の変速調整作業を行うわけです。
この古来からある作業内容。ケーブルの内装化が一段と進んだ昨今のロードバイクでは、非常に手間の掛かる作業となりました。その点、電動式変速コンポーネントについてはもう楽々でございまして。
シマノDi2の場合、あらかじめ選択した長さのエレクトリックケーブルをフレームに配線、あとはディレイラーと専用バッテリーを繋げるだけ。そのあとの細かい変速機調整についても、従来のそれらと比較してシンプルになりました。
こちらは以前にご成約をいただいた、第10世代TCR advanced PROフレームセットにて、シマノDi2をベースに組み立て作業を行う様子です。なお、今回わたしが使用するワイヤー引きブレーキレバー用モデルは、レバーユニットとDi2専用バッテリーもエレクトリックケーブルで有線接続する必要があります。油圧式ブレーキレバー用モデルの場合は、ここが無線(ワイヤレス)接続になります。なのでスラムeTapが採用する「ワイヤレス」に対して、シマノDi2は「セミワイヤレス」と呼ばれています。
スラムのeTap AXSシリーズでは、変速レバー、フロントディレイラー、リアディレイラーのそれぞれがワイヤレス接続になります。
その為、eTap専用バッテリーはそれぞれの部品に搭載されています。シマノとスラム、どちらのシステムが優れているかという議論は、けっきょく使用する方の好みとセンス次第といったところです。
電動式変速は運用面においても大きなメリットがあります。それはシフトケーブルの消耗と、それに伴う交換が必要無くなるという点です。私の場合、これまではおよそ1年でシフトケーブル交換を行ってきました。今後はそれに掛かるコストや作業の手間自体も無くなるわけです。
また、こんなときに限ってというタイミングで発生する、シフトインナーケーブル切れを原因とする変速不具合も無くなります。もちろん、電動式変速ユニットにすれば変速トラブルが絶対に発生しないとは申し上げませんよ。ですが、日々の業務などでお客様のバイクを拝見する限り、圧倒的に多いのは機械式変速のトラブルですね。母数の違いによって生じる件数の差は割愛いたしますけど。
【選んだパーツの布陣】
電動式変速化にあたり、複数のコンポーネントブランドを検討した結果、シマノのDi2システムを選択しました。他にはスラムe-TAP AXSの1×12シリーズも候補でしたが、導入コストおよび消耗品を含むランニングコストの観点で、今回はシマノDi2に軍配があがりました。
「レバーユニット ST-R9250」
シマノロード用コンポの最高峰『DURA-ACE』
そのワイヤー引きブレーキ専用モデルとなります。このほかDi2対応のワイヤー引きブレーキ用レバーには、アルテグラのST-R8150がラインナップにあります。
当初はそちらで検討していたのですが、「今だ ! 」と導入を決断したタイミングで入荷時期が2~3ヵ月先。それだと今回も購入熱が冷めてしまうという事で。まさに清水の舞台から飛び降りる気持ちで予算を割き、狙ったかの如くちょうどシマノに在庫があったDURA-ACEを購入した次第です。当然、今回もっとも費用が掛かっているのが、このレバーユニットだということは言わずもがな。あらためてDURA-ACEだけは値段の格が違います。
電動式変速コンポのシフトレバーはもはやスイッチやボタンですし、私のような「パワーは力だ」派だと、あまりグレードの違いに惹かれないわけです。前方から車体を見られた際に、「おぉ~DURA-ACEや ! 」と言っていただく場面で内心少しだけ嬉しくなるほか。アルテグラまでとはレバーユニット単体での重量も格段に軽くなります。
当初の予定よりも財布が軽量化された点は、ポジティブシンキングで忘れましょう。
なお、油圧式ブレーキ仕様のST-R9270はモデルチェンジの際に新デザインとなりましたが、こちらは先代のST-R9150(11速)をベースに、システムや対応するエレクトリックケーブルの仕様を変更、最新リア12速バージョンに対応させています。なのでブラケット形状そのものは先代のST-R9150と一緒です。
◇油圧式ブレーキ ST-R9270
◇ワイヤー引きブレーキ ST-R9250
変速操作やサイクルコンピューターの操作ボタンとして使用可能な、左右ブラケット上部に備わる「Aボタン」は、アルテグラグレード以上に奢られた装備です。
わたしのバイクではリア変速操作に設定しておりまして、右手はトップ側変速、左手はロー側変速に機能を割り振っています。
手首のあたりまでドロップハンドルのリーチ部分にのせて、前傾を深めにとるフォームで走行する際など、細かいリア変速操作時に重宝しています。
なお、昨年フルモデルチェンジを果たしたスラムRED eTap AXS E1
シマノのAボタンと同様の役割をする「ボーナスボタン」というものが、ブラケット上部の内側に新規追加されました。
実際に使用してみますと、追加ボタンの配置位置としては、こちらのスラムのデザインが秀逸だと感じます。
わたしの場合、先述のようなシッティングフォームで巡航するときには、この親指あたりにボタンが設置されていると押しやすいと感じます。
それに対してダンシングの際は、シマノのAボタンのようにブラケット頭頂部にあると使いやすいですね。このあたりはブランドそれぞれに考え方や特徴があり、たいへん興味深いところです。
加えて、昨年実際にあったトラブル例もご紹介します。シマノDi2の左レバーが経年劣化と腐食により、変速操作に支障を抱えていたお客様のバイクを点検でお預かりしたのですが。あいにく交換できるレバーユニットの在庫がシマノにもございませんでして。
そこで左ブラケットのAボタンをフロントインナーギア、右ブラケットのAボタンをアウターギア変速に割り振る設定をご提案しました。これはボタンの配置を変更できる電動式変速Di2ユニットだからこそ可能な対応策と言えます。
「クランクセット アルテグラ」
外観はFC-R8100に見えますが。実はこれ、所有していた先代FC-6800クランクが「シマノクランク無償点検及び交換プログラム」の対象となった際、代替品として受け取ったFC-08という製品になります。その為アウターチェーンリングは11速用となっており、リア変速を12速にする今回のカスタム的には、公式として推奨される組み合わせではありません。が、問題なく使えたのでしばらくはこのまま運用し、アウターチェーンリングが摩耗したら12速用に交換する算段です。
このクランクセットを使用するにあたり、個人的に嬉しい誤算もありました。これまで使用していた旧世代のクランクセットよりも、Qファクターが拡がることを把握していましたが、使ってみると私の感覚にジャストフィット。同様のクランクを使用する完成車を試乗した際にも薄々気が付いてはいましたが、自分のバイクに装着するとその違いをはっきりと理解することができました。
「フロントディレイラー FD-R7150」
はい。こちらはシマノ105グレードを選択しました。山岳ロングライドでもフロント変速は殆ど使わないスタッフ川村にとって、上位機種のFD-R8150やFD-R9250に奢られた超素早い変速動作はさほど魅力を感じませんでした。
なお、アルテグラとDURA-ACEのディレイラーは、105のそれよりもモーターユニットが小型化しており、パーツ重量も軽量化されています。とはいえ、機械式と比較すれば指先の僅かな労力で十分素晴らしい動作をしてくれるのが電動式変速。ここはコストを重視します。なお、105グレード初となるこのDi2ユニットですが、FD-R7150のモーターユニット本体には、旧DURA-ACE Di2の物が流用されている事は有名な話ですね。
で、【作業性とメンテナンス性】のところでもサラっと述べましたが。電動式変速にも稀にメカトラブルは発生するものでして。先日、メンテナンス作業中にリアホイールをフレームから外すにあたり、インナーギアへ変速したところ。突然フロントディレイラーが動かなくなってしまいました。
「もしもーし、エブリバディホーム?」
冗談はさておき、バッテリーの充電残量はあるし、エレクトリックケーブルもしっかり繋がっている。それじゃあなぜ? ということで、Di2専用ツールPCM-2を使用してパソコンに接続。専用アプリケーションで診断とファームウェアのアップデートを実施しました。どうやら左レバーがなぜか自分を105Di2の「ST-R7170」と思い込んでいて、ST-R9250としての各ボタン設定がロストしていた様子。その後すぐに復旧してくれました。
といいますか、これをご覧ください。PC専用のDi2アプリケーションでは、各ギアごとの使用比率もチェックできるのですが。普段からそこそこ起伏のあるルートを走っているのですが、フロントインナーギアを殆ど使っておりませんね。合わせてリア変速のローギアも、内容からしてメンテナンスや組立後の点検時に使用した痕跡があるのみ。コンポーネントを組み換えてからすでに亀老山も5本以上は登っているのですが、やはりこれなら1×12仕様でも問題ないですね。
「リアディレイラー RD-R7150」
フロントがそうならリアだってコスト重視で105を選択します。105とはいえそこは伝家の宝刀、電動式変速ユニットです。歴代使用してきた機械式変速のアルテグラやDURA-ACEと変速性能を比較すること自体、「無駄無駄無駄無駄ァァァー!」なことは言わずもがな。強いていえば部品自体の重量差や、ガイド&テンションプーリーに採用されている軸受けの仕様に差がある程度。ぶっちぎりの軽さを誇った旧機械式スラムコンポに比べれば、電動式変速は重量増になるのが分かっていることですし、個人的に105で十分だと判断しました。
「カセットスプロケット CS-R7100」
コストカットは徹底的にということで。ここも105グレードを選択しましたが、摩耗して次回交換する際にはアルテグラグレードのCS-R8100を導入する予定です。その理由はずばり、Di2コンポーネントの中でグレードによる変速性能差をはっきりと実感することが出来たパーツだからです。105に採用されるHYPER GLIDEとアルテグラ以上に採用されているHYPER GLIDE + の違い。シマノDi2を搭載した試乗車を乗り比べた際、その差をはっきりと体感することが出来ました。
「チェーン CN-HG701」
カセットスプロケットと同様に交換が必要となる消耗品のため、こちらにもアップグレードを楽しむ余地を残しておきました。
「ブレーキ BR-R8000」
ここは以前からシマノ製を使用していたのでそのままです。ですが、実はここに想定外だった変化があります。
以前の旧スラム製レバーと組み合わせていた際は、メーカー互換性の推奨外による副産物「レバー比の関係」で、じつは想定以上の制動力を発揮していたブレーキユニット。
今回は現行のシマノ製レバーと仕様が揃ったことで、制動力は普通のリムブレーキのそれに。効きのイメージとしては、想定外だけどガッツリ120% → 設計通り100%の性能になったという感じですね。こうなると、油圧式ディスクブレーキが欲しくなる気持ちもわかります。
【走行時のフィーリング】
Di2を含めて電動式変速のレビューといえば、おもに変速性能についてフォーカスされますが、ここではもっと多領域で生じるメリットをお話します。
まずはケーブルが無い(極めて細い)ことによる、ハンドル周りに起きた変化です。ハンドル操作自体が非常に軽くなったのはもちろん、直進安定性が向上しました。直進時にも常に極々僅かなハンドリングを繰り返すロードバイクにとって、シフトケーブルの突っ張りによる抵抗が無いだけで、直進安定性も向上したのでしょう。
ハンドルが左右スムーズに動くことは、自転車が真っすぐに走行する上で非常に重要な要素です。極端にいえば手を放していても前へ進む限り、自転車は原理的にバランスがとれる仕組みになっています。スムーズなハンドリングは走行時間が長くなったり、強風のなかで走行するときにも差を実感します。
また、シフトケーブルによってフレームヘッドチューブ周辺に発生していた気流の乱れが減少した影響でしょうか。35km/hあたりからのスピードの伸び、そして巡行時が以前よりも滑らかになった感覚があります。
第9世代以降のTCRを含めた新世代のロードバイクフレームは、ヘッドチューブ周りの形状にエアロダイナミクス効果を持たせていることが多く、ケーブル類が無い、あるいは極めて少ないクリーンな外観で空力を発揮しやすいのでしょうね。
そう考えますと第10世代TCRのように、ケーブルフル内装化を採用した理由にも納得ができます。
シフトケーブルの巻き取り機構を必要としないDi2用レバーは、当然ですが重量面においても非常に軽量です。油圧式ブレーキモデルに対して、ワイヤー引きブレーキモデルはそれがより顕著になります。ドロップハンドルの高い位置にあるレバーユニットが軽くなりますと、バイクの挙動全体が非常に軽快になります。
重さの面について、今回1点だけちょっとしたデメリットも感じまして。今回選択した105の12速(最大ギア34T)のカセットスプロケットやリアディレイラーですが、以前まで使用していたスラムRIVALのリアディレイラーと10速のカセットスプロケット(最大ギア25もしくは28T)を組み合わせた時よりも若干重量が増した分、車体全体の重量バランスが後輪軸側へ僅かに偏った印象を受けます。
加えてシートピラー内にDi2用バッテリーを搭載していることも、多少は影響しているのでしょうか。このあたりの仕様、GIANTも次期モデルではBB周辺にバッテリーを搭載する設計にして欲しいところです。
これらの違いをもっとも実感するのがワインディングの下り坂。コーナリング中の車体バランスが僅かに変化したことに、最初は違和感がありました。このあたりはすぐに慣れましたけどね。
そして、ここからは走行フィールについてもう少し踏み込んだ部分のお話を。
【コンポーネント載せ替えに至った最大の理由】
それはずばり、機材の世代交代に伴うバイクフィーリングの変化にあります。
リムブレーキ全盛期にアルミ、そしてカーボンフレームを乗り継いできた私は、走りの基礎となる部分をその流れの中で育んできました。
そして現在、最新世代のレースバイクであるTCRやPROPELそしてエンデュランスバイクのDEFYなど。ディスクロードとしての熟成が遥かに進んだ今、過去に経験したリムブレーキバイクとはギアの掛かり具合やペダリングフィールがまるで異なる印象を受けていました。リムブレーキ全盛時代も「先代のフレーム比でペダリング剛性が数%向上」というような進化こそ繰り返されてきましたが、そんな中にも多少の「バネ感」または「適度なしなり」を脚に感じさせる味付けがあり、その特性に合わせてトルクを掛け、推進力を生み出すような走り方ができるイメージでした。ハイギアで低ケイデンス、高トルクでモリモリとペダルを踏んで進むあの感覚。だいたいの山や峠道をアウター縛りで登ることを愛するスタッフ川村にとって、そういった走り方を許容するフィーリングを備えたフレームが理想的でした。
ところが。各バイクのディスクロードとしての熟成が進むにつれて、以前ほどそういった走り方がハマらなくなった印象を受けていました。それはわたしが現在乗るTCRも同様でして、ディスクロードの性能を本格的に開花させた第9世代TCRをベースに、リムブレーキ仕様の最終モデルとして生産されたフレーム。設計自体は昨今のロードバイクに求められるトレンドを盛り込んだ内容になっている影響なのでしょうか。その味付け自体も今風になっていますし、それに合わせて以前のバイクからポジションも変更しています。
第8世代TCRから部品を移植して、1年間乗ってみた上で「あともう1つ足りない」なにかを身体に感じていました。そんな中で最新モデルの完成車を試乗するうちに確信したのが、「積極的な変速操作を駆使した乗り方がハマる」という結論でした。
これまで使用していた機械式&10速コンポーネントの場合。ちょっとした風向きの変化や道の勾配変化などに遭遇した際、変速操作が少々億劫でペダルケイデンスが低下したまま、無理やりパワーで押し切る場面がありました。旧来のフレームなら、そういった脳筋ペダリングでも許容してくれたのですが。最近のフレームは一旦ペダルケイデンスが落ちてパワーバンドから外れてしまうと、爽快感に欠けてしまう印象があります。それでも速いことは速いのですが。
そこで欲しくなったものが、指先による僅かな操作で抵抗感もなく変速操作ができるという、電動式変速コンポーネントだけに許された要素です。走行中に繰り返し遭遇する細かな場面でも躊躇することなく、スマートかつ反射的に変速操作ができる為、より高いペダリング効率を要求するような、高性能バイクの美味しい「トロ」の部分を常に味わえるわけです。
更にはいまの完成車に搭載されているコンポーネントに共通する点。それは12速化により実現したローワイドレシオのカセットスプロケットを使用しつつ、電動式変速でロスなくギア間を繋いで走行できるところです。
これらの予想は大正解。変速操作の回数が以前とは雲泥の差で、ライド全体の質、さらには平均スピードも変化したことを日々実感しています。
また、ライドイベントの同伴スタッフとしては、ハンドサインや周囲の状況判断をしつつスムーズに変速操作が出来るなど、ユーザービリティに満足しています。
最後になりますが。
「充電するのがめんどくさいじゃん」
「ギアを操作するときの玄人感がない」
「速く走らないから要らないでしょ」
という、電動式変速に対する偏見をお持ちの方へ。その中でもとくにクルマなどの乗り物が好きなサイクリストへ。
じつは私、クルマは長いことHパターン3ペダルのMT車を愛用しておりまして、「乗り物はその状況に応じて自分で操作して走らせるもの」という考えを大切しています。
ときどき、「長距離運転とか渋滞とか辛くないの?」と言われましても、自転車で走るのに比べれば遥かに楽ですからね。それに自転車のペダルをこぐ時も両足使う点では一緒ですから。対しまして、AT車をはじめとする昨今のクルマに搭載される先進運転支援システムや快適装備の数々。これらは企業やエンジニアの方々による長年の努力があってこそ実現した素晴らしい技術です。ただ、そういったものは個人的にあまり好きではありません。パドルシフトなどは好きですが、必要以上に快適かつ便利過ぎると怠惰になりますから。
そんな化石燃料の匂いがしてきそうな感性を持つ私ですが。ロードバイクの最新技術、電動式変速コンポーネントに限ってみれば実際に所有しないと解らない、快適性を越えた魅力があったことを痛感しています。真冬は寒くてお店が暇…じゃなかった。電動式変速から受けたインスピレーションで執筆が捗ってしまい、ずいぶんと長くなりましたが。
「完読がお前のゴールだ」絵:スタッフ川村
最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回のサイクリングで。
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