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【スタッフが乗ってみた】久しぶりに乗ったら凄くいいぞ~TCR advanced PRO 1~2025年2月19日

こんにちは。今治店スタッフの川村です。

いま現在は1つ前の世代にあたる、最後のリムブレーキ仕様「TCR advanced SL」に乗っている私ですが。

【CADEX】CADEX 36 リムブレーキ仕様が登場です

足回りには、リムブレーキ専用品として現在もっとも最新の規格を取り入れたCADEX 36ホイールセット。そしてSLR 1ホイールセット(廃版モデル)を使用しています。

【スタッフのサイクリング】今更ですがリムブレーキロードを電動式変速に組み換えました

さらに、昨年末には最新のシマノDi2コンポーネントに組み換えたことで、ブレーキ形式とそれに伴うフレーム規格などの相違点さえ除けば、基本スペック的には最新モデルにも引けを取らない域に到達したと感じています。

当然その走りの質にも満足しているほか、今後も自分自身のパフォーマンスをさらに高めることで、このバイクがもつ性能を余すことなく引き出したいと、日々のライドにて精進しております。

そんな折、先週とある機会にて最新モデル「第10世代TCR advanced PRO 1」の試乗を兼ねて、サイクリングに出かけたのですが。

「新型TCRって、先代と比べてこんなにも走りの質が向上していたっけ?」

という、ちょっとした衝撃を受けました。それこそ、先述でご紹介した愛車への満足度さえも若干薄れてしまいそうなレベルで…。そもそも。最新モデルにあたる第10世代TCRは、2024年の春にローンチを迎えまして、そのあと割と早い段階でわたしも試乗をしています。

【新型TCR】優等生も程々にして欲しい

その際に得られた感覚は、「TCRがすでにトータルレースバイクとして完成されていた為、先代とはそれほど大きく変わらない」というものでした。実際、第9世代TCR(ディスクブレーキ仕様)を所有するユーザー様の中からも、新型のご試乗後に同様の感想をいただくケースが散見されていた記憶があります。

【スタッフが乗ってみた】第10世代 TCR ADVANCED PRO 1

そして今回、あらためて乗る機会があったTCR advanced PRO 1につきましては、昨年夏に1度しっかり乗ってみる機会はあったのですが。バイクがもつ素性の良さについては、初回で試乗した際よりも明確に感じ取ることができたものの。やはり、いま思い返してみましても「新型すごく変わったな!」という程のインパクトは無かったというのが、わたしの感想としては正直なところでした。過去所有した車体を含めて、歴代TCRにはだいたいのモデルに乗った経験もありますが、以前のブログ内でもお話しましたとおり、TCR自体がもともと優秀すぎるあまり、今回のフルモデルチェンジではそれほどのアップデートを実感することができなかったわけです。

と、ここまでが新型TCRに対して抱いていた個人的なイメージ。それが一体全体どうしたというのでしょうか。久しぶりに乗ってみますと、それまでとは新型TCRに対する印象が随分と変わっていた次第なんです。なお、今回はフラットペダル+スニーカー着用で30km程度、今治店からしまなみ海道の大島を周ってくるルートを走行しました。ご一緒したお客様の走力も相まって、なかなかいいペースで進行するサイクリングでした。

これらの条件を前提に、いまなお現役でリムブレーキロードを駆るサイクリストとして申し上げます。現状できる限りの最新規格のコンポーネントを揃えた私のハイエンドフレーム&リムブレーキTCRと、最新規格かつセカンドグレードのディスクブレーキTCRをあらためて比較した場合。

「多少シビアな部分も玄人的に乗りこなして速さを得るなら前者」

「より少ないストレスで快適に速さを得るなら後者」

というのが、リムブレーキロードとディスクロードに対して抱くイメージです。

少し踏み込んだお話をいたしますが。機材全般において、ディスクロードの熟成度が急激に加速している昨今。リムブレーキロードとディスクロードは、近い世代のフレームに同等スペックのパーツを組み込んだとしても、それによって得られる質感そのものがだいぶ異なることを感じています。

同時に思い浮かべたことがございまして。仮に最新のディスクロードを1台目に購入してサイクリングをはじめた人がいたとします。その人がある程度ロードバイクに慣れてきた段階で、過去のリムブレーキロードに乗る機会があったとします。その場合、使用する機材の価格やグレードに関わらず、おそらく走行感に対して強烈な違和感を抱くのではないでしょうか。冗談を抜きにしまして、それほどまでに今のロードバイクは変化を遂げています。

当店に勤務するこの2名もそんな新世代のユーザーでして、今後はそういった機材検証をしてみるのも面白そうですね。

さて、TCR advanced PRO 1 試乗のお話に戻しまして。

最新規格を採用するディスクロード「第10世代TCR」に備わる特性の中で、わたしがもっとも好印象を得ているが、優れた直進安定性です。さすがにエンデュランスロードのDefyには及びませんが、軽量級レースバイクとして乗る限り、先代からさらに磨きのかかった特徴のひとつです。今回のライドでもその性能をしっかりと発揮してくれました。多少の路面状態や速度域の変化にも左右されることなく、常にリラックスした感覚で走行することができる点は、さらなる速さを追求するレースバイクとしても大変魅力的なところです。

加えて油圧式ディスクブレーキ。ワイヤー引きのリムブレーキと比べて、油圧式ディスクブレーキのレバーは操作感も非常に軽く、且つ制動力に文句のつけようがない点は、今さら申し上げることでもないのですけど。

皆様は販売店でディスクロードについてご質問いただいた際。

「リムブレーキと比べて雨の日もブレーキが効きます!」

と案内されたご経験は少なからずあるでしょう。

そこで多く方がこうお答えするわけです。

「わたし、雨の日は乗りませんので…」

それはごもっともですよね。

おそらく9割近いロードバイクユーザーは、雨天時に喜び勇んで乗りに行くことはしませんし、わたし自身これといった必要性が無ければ、ずぶ濡れのサイクリングは殆どしません。気温が高い真夏のライドではバッチ来いですが。なので、最近は店頭でそうしたご案内をこちらからする事を極力避けております。

このディスクブレーキお約束の文言。正直に申し上げますと、ディスクロード登場当初はお伝えしやすいメリットが少なくて、結果として多くの場面で使われるようになったと感じています。それでは当時のディスクロードに無くて、今のディスクロードにある伝わりやすいメリットは何かと申し上げますと、規格が新しくなったホイールとタイヤによる、走りの質の向上です。

 

 

 

「第8世代TCRのディスクブレーキモデル」

10年程前にディスクロードが登場した際は、リムブレーキで使用されてきた「内幅17㎜以下のナローリムに25c以下のタイヤ、高い空気圧セッティング」というスタイルが引き継がれており、結果として油圧式ディスクブレーキの性能を持て余す印象がありました。細くてカッチカチのタイヤで極小の接地面積では、リムブレーキの制動力ならまだしも、油圧式ディスクブレーキの制動力を扱うにはとってもシビアです。いくら雨で効くと言われましても、実際にウェット路面で乗ってみると、それほど大きなメリットに感じませんでした。

その点、最新のワイドリムホイールとワイドタイヤ、そして低圧セッティングによる足回りの運用は、まさにディスクブレーキの為にある組み合わせです。初期のディスクロードにお乗り頂いた際の記憶をそのまま引きずっている場合には、ぜひ最新のディスクロードに乗ってみてください。フレーム各部がディスクブレーキを前提とした設計に変わったことで、走行時の独特なクセも解消されている面はありますが、それはもうおったまげます。

そして今回、スニーカーでゆるッとペダルをこいでいながらも、新型TCRに抱いていた記憶をこと如く更新したのが、登坂における走行特性です。5%程度の緩斜面から10%を超える急斜面に至るまで登り坂を非常に滑らかに、ペダリングと同調してバイクがサクサクッと進む感触。機材としての重さで言えば、わたしのTCRも非常に優勢ですし、なんでしたら費用のほうも結構掛かっているのですけどねぇ…。

「車体を持ち上げて比べたときの重量差、ちゃんと仕事してる?」

と、思わず心のうちでつぶやいてしまいましたよ。その理由もいくつかございまして。

現在のロード用ギアコンポーネントにおいてスタンダード。非常に充実したローワイドギアレシオのリアカセットスプロケット。(TCR advanced PRO 1は11‐34Tのカセットスプロケットを標準装備しています)

「レバー本体もワイヤー引き変速モデルと比較して非常にスマート」

これを電動コンポーネントで扱うと、とにかくストレスフリーな操作性と相まって、フロント変速をせずとも、大体の登坂はサクサク登れてしまうわけです。

その点については今のわたしのバイクも同様でして。乗る人によってはフロントインナーギアがただの飾りになってしまうほど、変速操作に対する概念が数年前とは全く異なります。ちなみにこの日、同等スペックのLiv「Langma advanced PRO 1」試乗でご一緒した女性のお客様も、ほぼすべての登坂をアウターギアで軽々とクリアされていました。しかも、私より小柄ならが平坦路も速くてびっくり。※追記:現在は先代Langma advancedにお乗り頂いており、そちらと比べても新型Langmaの走りに感動されていました。

このワイドなリア変速を幅広く、積極的に使用してペダリング効率を高める乗り方が、最近のフレームと非常に相性がよく。わたしのTCRについてもそういった部分を少し感じていた為、思い切って最新のコンポーネントに組み替えた経緯があるのですが。ディスクロードとして熟成が進んだ第10世代TCRは、そうした感覚がより一層強くなっています。

そしてそして。この新型TCRの走りをグッと底上げしているのが、リムハイトを含めて新デザインになったSLR 1ホイールセットです。先ほど申し上げましたとおり、ディスクロードの魅力はホイールやタイヤの進化があったからこそ、その輝きを増しています。

これについては私が使用しているリムブレーキ版CADEX 36ホイールや、併用しているリムブレーキ版SLR 1ホイールも、リム内幅の寸法やフックレスリム構造は新型SLR 1ホイールと共通ではありますが。

ワイドタイヤを組付けることが前提となった昨今のリムデザインは、ディスクロードフレームとの組み合わせによって、その進化を発揮するように作られていると感じました。それもそのはずでして。このホイールセットをはじめとする、近年登場しているコンポーネントの数々。これらはその世代のフレーム本体とのトータルバランスを前提に開発されています。余談になりますが。GIANTのホイールセットについては、すでに第8世代TCRの頃からそういったプロセスが採用されています。


※シクロワイアードより

2016モデルインプレッション
ジャイアント TCR ADVANCED PRO 大幅な軽量化を果たしたスリムシェイプのオールラウンダー

リムブレーキロードの時代にはリムブレーキに。そして現在のディスクロードには、そのメリットを最大限に活用したリムデザインを採用することで、剛性や軽量性、さらには空力性能を高めることに成功しています。

最近、各種コンポーネントブランドの関係者インタビューを拝読したのですが、フレームにリムブレーキによるスペース制限が無いことは、フレーム造形の自由度が増す為、結果としてリムやタイヤの設計面で大きなメリットになるそうです。うーん確かに。

ちなみに一度、リムブレーキ全盛期のホイールセットとタイヤを私のTCRで試したこともあるのですが。やはりと申し上げましょうか、当時のTCRに使用していた時ほどの魅力を感じることはできませんでした。さらに付け加えますと、ナローリム時代のホイールに、ワイドリムに合わせて設計された新規格の25cや28cタイヤを装着しても、残念ながらあまり好感触は得ることができないのも経験済みです。以前のナローリムにワイドタイヤを装着するとクッション性は向上しますが、ワイドリムで使用するときのようなタイヤ剛性(ヨレにくさ)と路面に対する転がり抵抗の少なさを得ることはできません。

わたしのTCR advanced SLと乗り比べた場合。フレームやホイールのグレード差による特徴などを含めて、今回はライドにTCR advanced PRO 1の仕様がぴったりハマった感もございます。体格が小柄で出力自体はさほど高くないわたしの場合。ばっちり剛性のキマッたハイエンドレースバイクは、それなりの走行ペースで踏んではじめて美味しい部分が出てくるんですよね。いずれにしても、機材に対する印象はそのときどきで変わるものだなぁと痛感した次第です。

それではまた次回のサイクリングで。

 

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