ジャイアントストア今治
【Eバイク】サイクリングからみる Escape R E+ の本質2025年1月31日
最近イラストタッチペンがマイブームです。
こんにちは。ジャイアントストア今治スタッフの川村です。
それはある休日のこと。
(午前中だけ店舗ミーティングでしたけどなにか?)
わたしは当ブログでもおなじみのミニベロに乗って、Eバイクと一緒にサイクリングへ出掛けました。
午前中のミーティングを終えた後でしたので、まずはライドの前に腹ごしらえ。
少し前から気になっていたお店でインドカレー。わたしバスマティ米が結構好きなんですよね。
ちなみにスタッフ川村は辛いものやスパイスに超敏感でして。食べている最中はもちろんのこと、厨房から漂ってくる香りを嗅ぐだけでも、額に薄っすらと汗を搔き始めます。カレーは自体はめっちゃ好きなんですけどね。
カレーを食べているときは身体もホッカホカですが、食べ終わってお店の外へ出ると冬の空気と汗冷えでガクブルッ。さっさと出発して、ペダルをこいで身体を温めることにします。
そして、今回一緒に走ったEバイクというのがこちらのモデルです。
Escape R E+
クロスバイクのEscapeシリーズをベースに「ペダルをこいで楽しむ」というサイクリングの本質に配慮したEバイクです。
これまでわたしも実際に乗ってみたり。
Eバイクにお乗り頂いているお客様と一緒にサイクリングへ出掛けたり。
ご購入を検討いただいているお客様にご案内する際や、メカニックの立場としても触れてきたEバイクです。今回はあらためてその特徴について、サイクリングをしながら分析してみましたので、よろしければお読みくださいませ。
まずは大前提といたしまして。
日本国内で公に販売されているEバイクには、道路交通法で定められたアシスト制限を厳守するための性能調整が施されています。
◇電動アシストは基本的にペダルをこいでいる時にのみ機能すること。そして時速24キロでアシストがストップします。
◇時速10キロ未満で発揮されるアシスト力の比率が決められて、ペダルを踏む力とアシスト力の比率が最大1:2までに規制されています。なお、モーターユニット本体の最大ワット(もしくはトルクで表記)には上限がありません。
◇時速10キロ以上24キロ未満で走行中は、速度が上がるほどアシスト力が減少する制御を施されています。
もう少しご説明しますと…
仮に時速10キロ未満で150ワットの力でペダルをこいだ場合。日本の電動アシスト自転車の法規では300ワットのアシスト力を発揮してもOKということになります。そうすると、人力とアシストを合わせて450ワットという、まさにエリートレーサーレベルの出力で走行することになるのですが。それほど単純な話ではないんですね。
搭載するモーター自体が機械として発揮できる性能が最大250ワットの場合。どれだけ踏み込んでも250ワットまでしかアシスト力は発揮できません。「それじゃあもっと高出力な500ワットぐらい出せるモーターを載せればいいじゃん‼」と思うところですが。自転車に搭載するための部品の大きさ(モーター本体と高出力に対応する大きなバッテリー)、電動ユニットメーカーの事情などが絡む諸々の事情から、日本で販売されている電動アシスト自転車では、250ワット(トルクは最大で75N・mあたり)ぐらいまでのモーターを積んでいる車種が多い印象です。
※実際にはモーターから駆動力としてタイヤに至るまでの間、ユニット内部のギア、チェーンやスプロケットを含むドライブトレインによる損失があるので、モーター出力がまるごと走行に反映されるわけでは無い点もあしからず。
そしてモーター本体の最大出力に関係なく、時速10キロから24キロにかけては速度が上がるほどアシスト力が弱くなり、人力に頼る割合が増すというわけです。それじゃあ、どの車種も電動アシスト自転車としての乗り味は一緒なのかというとそうでもございませんでして。最大アシスト比率の範囲内、さらに時速10キロ以上でのアシスト具合が、車種ごとに若干異なります。
その違いをざっくり申し上げますと…
◇アシスト力の立ち上がり具合が優しく、ペダリングに同調して滑らかにアシストが働くタイプ
◇ペダルを踏み込んだ瞬間からグイッと一気にパワーが出るタイプ
Stance E+
本格的なMTBタイプのEバイクは、後者のような力強い加速を重視したモデルが多く、加えて高出力なモーターを搭載していることが多いです。また、チャイルドシートにお子様を乗せたり、荷物をカゴに載せた状態で市街地のストップ&ゴーや坂道を走るママチャリの電動アシスト。あちらもこぎ出しの加速感は強めになるよう、味付けされている印象です。
こちらはしまなみ海道エリアにてレンタサイクルとしても配備されている、国内自転車メーカーのママチャリの電動アシスト (わたしの自腹レンタル)
これに対しまして、オンロードでのサイクリングを目的としたEscape R E+は、どちらかと言えば前者のタイプになります。これはペダルをこいだ時により自然な走行感を演出することを目的にセッティングです。この滑らかさ重視のアシスト制御が、このあとにご紹介する「気持ちよく走らせる為のコツ」にも大きく関係してきます。
最初にご説明をしました通り、時速10キロ以上24キロ未満の走行中は、速度が上がるほどアシスト力が減少する制御を施されています。Escape R E+の場合、アシスト力をはっきりと感じつつペダルをこげるのは、時速18~20キロまでといった印象で、時速20キロ以上ではアシスト力がスーーっと影を潜めます。そのため、Escape R E+に乗ってサイクリングをした場合。平坦路はおおむね時速18キロあたりが快適に走れるの速度域に感じます。この日のライドでも、前を走るその姿からその様子が伝わってきました。
そして。電動アシスト自転車ならぜったいに気になる登坂性能ですが、普通のバイクでは速度がガクンと低下するキツイ登り勾配を走るときこそ、Eバイクの恩恵を感じる瞬間です。今回のように一緒に走って観察してみると、8パーセント以上の登り勾配ではEバイクの優位性がはっきりと伝わってきます。ただし、最初のお話の通り速度に対するアシスト制御がある為、激坂でもペダルをこいでいれば時速24キロで走れる!ということはございませんのであしからず。
登り坂であっても勾配5パーセント程度の緩い登り坂。そして車体や車輪の慣性力を活かして走行できる平坦路では、Eバイクの優位性が若干薄れます。これは車体構造からくる重さと、時速24キロでカットされるアシスト制御が原因ですね。そういった場面で普通のスポーツバイクと一緒に走る場合、Eバイクに乗る人も多少頑張ってペダルをこぐ必要があります。
ですが、Escape R E+は「ペダルをこいで走る」というスポーツバイクの基本要素を重視したモデル。本来、Eバイクが苦手とする平坦路や緩斜面の登り坂でも、あるコツを意識してお乗りいただく事で、とても気持ちよく走ることができます。
Escape R E+を気持ちよく走らせる為のコツ。
それは…
「変速操作を使ってペダルをしっかり回すこと」
機能面からもう少し詳しくご説明します。
Escape R E+には、日本における電動アシスト自転車のパイオニア「YAMAHA」と共同開発したモーターユニットが搭載されています。Eバイクをはじめとする電動アシスト自転車のアシスト機能調整、それを主に担うのがコンピューターをはじめとする制御システムです。
モーター本体の性能とは別に、この制御システムのセッティングがEバイクの乗り味を決定する核の部分。通常の電動アシスト自転車と比較して、Escape R E+はペダル踏み込み具合を感知するセンサーや、スピードを読み取るセンサーの精度をより細かく設定。それにより、「ペダリングに同調して滑らかにアシストする」セッティングを演出しています。そのため、このセッティングはペダルをしっかり回して走行した際に最もフィットするというわけです。
そのために欠かせないのが、こまめなギア変速操作です。サイクリングでは道の起伏や風向きの変化など、その都度状況に合わせてギア変速操作を行い、ペダリングのリズムを一定に保つことが、快適かつスムーズに走行をする上で非常に大切です。ペダリングの際、1分間で何回転ペダルをこいだのか示したものが「ケイデンス」といいます。Escape R E+はこのケイデンスを比較的高めに走行した際に、人力とアシスト力が最もシンクロするEバイクだと私は感じています。
【ケイデンスと乗り方について】
スポーツバイクによるサイクリングでは…
◇初心者なら70回転/分ぐらい
◇慣れてきた方なら80~90回転/分あたり
このあたりが効率のよいケイデンスの目安とされています。
ときにはこの目安より低めのケイデンスで走ることもトレーニングとしては必要ですが、脚を回せる許容範囲をより拡く備えておくと、対応できるライドの幅も増えます。
そしてこれが日常の足使いに特化したママチャリ電動アシストの場合。
よくある街中、今治ではしまなみ海道を走行している殆どの人のケイデンスは…
◇30~40回転/分
といった感じになります。同じ乗り物でもぜんぜん違うでしょ?
というわけで。以前からこのママチャリ電動アシストが気になっていたわたしも、この機会にレンタルして乗ってみましたよ。
便利さと快適性を重視するママチャリは、まず乗車姿勢そのものがスポーツバイクとは異なります。身体に対するハンドルの位置は非常に高く、その距離も近いほか、サドルの高さは乗り降りのしやすさを重視して極力低くすることを想定しています。そのため、サドルに座った状態で上半身はほぼ真っすぐに立ち、ペダルをこいでいる時は常に深く膝が曲がった状態になります。
ペダルをこぐ際は太ももの筋肉を主体として、ゆっくりとしたケイデンスで走行するスタイルになります。このようなママチャリのバイクポジションでは、前傾姿勢でハイケイデンスを発揮すること自体、肉体的にとてもハードワークになります。
ギア変速も内装3段のみ。1段変速をする度に「重い」「普通」「軽い」の振れ幅が大きくて、いつもの感覚でペダルを回すなら1.5速や2.5速が欲しくなります。
どちらかといえば低い速度域に合うギア比が組まれていて、その速度域の範囲ではアシストがガッツリ機能するセッティングですね。
せっかくの機会なので乗ってみた感想を正直に申し上げます。
「普通の観光客が夢中になるわけだ」
こまかいギア操作やサドルの高さを含むポジションなど、スポーツバイクに乗る際は当たり前にやっていること。そのすべてを無視して超テキトーに乗っても、電動アシストの絶大な恩恵を受けられるため、坂道やこぎ出しが楽々快適なんですよ。これぞ日本独自の自転車文化が誇るママチャリの性能です。我が家にも一台欲しくなります。
しかもですよ?
サイクリングの経験があり、ママチャリのゆるふわポジションでもそこそこペダルを回せるフィジカルさえあれば、ヒルクライムもなかなか速いんだなぁこれが‼
地元のサイクリストでしたらこのタイムで大体の想像がつくかと。
この車種はアシストモーターがペダリングから切り離された場所にあるため、ケイデンスに関係なくペダルを踏み込んだ分だけ、速度域に準じたアシスト力が前輪を駆動します。そのため、急こう配で1速を使用した結構なハイケイデンスでも、アシスト力が途切れないわけです。これはちょっとした発見です。
ただし。それらの性能を魅力的を感じるのは短時間、短距離かつ低速域でゆるっサイクリングした場合に限ります。
もっと長い時間をハイペースで走行するロングライドや、カーブが連続するワインディングを楽しむという観点では、スポーツバイクの性能が遥かに勝っていると断言いたします。
ママチャリに対してスポーツライドに必要なフレーム剛性やブレーキ性能を期待してはいけない事はいわずもがなですが。とくに差が出るのは下り坂のワインディング走行。いつも乗っているロードバイクやクロスバイクの感覚で走行すると、減速時には止まりにくいですし、比較的Rの小さいカーブはぜんぜん曲がりません。あと、回生充電が機能するため、ペダリングを止めた状態だとスピードもあまり伸びません。空気抵抗も半端ないって。
じつは座るだけでしたら超快適なこの大きなママチャリサドルにも原因があります。
スポーツバイク用のサドルはペダリングのしやすさに加えて、座面サイド部分のエッジを使い、内股で微細なバイクコントロールをする役割も有しています。オートバイクでいうところのニーグリップに近い要素でしょうか。
これは自覚がない方でも、それなりに乗れるサイクリストでしたら無意識にやっている動作です。ママチャリの大きなサドル、加えてサドルの高さをベタ下げで乗ると、これが非常にやりにくいことに気づきます。
客観的なところで言えば、砂や泥でズルズルに滑るコースを走るシクロクロスレースの動画を観察していただくと、その様子がとてもよく判ります。
ハンドルにはあまり頼らず、両足でペダリングをしつつも身体とサドルでバイクコントロールをしながら進むシーンが目に付きますよ。
とは申し上げましても。ママチャリにとってはそうした乗り方自体が対象外の乗り物です。あくまでも万人向け且つ日常生活での利便性を重視して設計された自転車ですからね。
これに対しまして。
スポーツバイクではペダリング時の効率性を重視した設計になっています。サドルに座った姿勢でも股関節から脚を大きく軌道させるサドルの高さ、そのペダリング動作に上半身から腸腰筋など体幹まわりの筋肉を導入しやすいポジションを採用しています。
さらに走行中は様々な状況に応じて細かい変速操作が行えるよう、ママチャリよりも多い変速段数が装備されています。これらの要素によって、サイクリング中に理想的なケイデンスを維持しやすくなります。
フレームやサドル、ブレーキといった部品もスポーツライドを目的とした性能を備えたものを採用しています。
つまり。これらを上手に扱うことができないと、Escape R E+をはじめとするEバイクは、備えている性能の半分程度しか発揮できないということにもなります。これについて、わたくし普段から思い当たる場面をよく目にしておりまして。
いつもロードバイクで亀老山を登っていると、Escape R E+とママチャリ電動アシスト、どちらもよく見かけるのですが。ごく普通の観光客の人が乗っている場合、わたしが今回乗ったママチャリの電動アシストの方が明らか楽そうに登っている印象がありました。これ、実際に両方の電動アシスト自転車を乗り比べてみて、その理由に納得いたしました。
ということはですよ。
裏を返せばスポーツバイクであるEバイクの場合。走りの効率性に特化したライドポジション、しっかりとペダルを回せるフィジカル、状況に応じて的確なギア選択ができますと、その性能が一気に覚醒するわけです。そうなったEバイクは、緩斜面でも急斜面でもなかなかの速さを魅せてくれます。当然、下り坂のワインディング走行もほどほどに速いですし、なにより楽しいですね。
わたしもロードバイクに乗っていれば、この程度のヒルクライムでしたらたとえEバイクが相手でも余裕のよっちゃんですけどね。
今回のように普通のミニベロを駆り、乗り手によって覚醒したEバイクと一緒に走るとなりますと、さすがに「本気と書いてマジ」の走りが要求されます。
そういったヒルクライムをやり切った時に込み上げてくる達成感。まさしく超級山岳ステージのそれです。そりゃもう、カレーを食べたあとの汗冷えなんて吹っ飛びましたね。
さてさて。
電動アシスト自転車の中でもEscape R E+のようなEバイクには、気持ちよく乗る上でもう1つ大切な事があります。
それは…
「駆動系のメンテナンスをすること」です。
ここまでお話して参りましたとおり。スポーツバイクは変速操作も使ってペダルをしっかり回すことで、本来の走行性能を発揮することができます。たとえばチェーンオイルによる潤滑が不足していたり、そもそもチェーンが酷く摩耗していたりすると、せっかっくのアシスト力をロスしてしまいます。
チェーンの摩耗については以前に詳しくご紹介しております。宜しけれそちらの記事もどうぞ。
そのほかタイヤが著しく摩耗していたり、変速機が本来の動作をできないほど不具合を抱えているなど。そういった整備面が不足した状態のEバイクは、電動アシスト自転車としての機能をもってしても、あまり快適に走行することができません。
普段はご自身でも簡易的なメンテナンスを行って頂き、本格的などメンテナンスは専門店でしっかり受けること。これが本当に大切です。
『おまけ』
ついでと言っては何でございますが。
【ペアサイクリングにおける豆知識】
Eバイクと普通のスポーツバイクにそれぞれ乗り、一緒にサイクリングをする様な場面では、走るルートや乗る人のフィジカルレベル、そしてスポーツバイクを操作する熟練度によって、道中でそれぞれが得られる満足度も変わってきます。
たとえば…
「中級者以上の人がロードバイク」
「初心者やそれほど運動習慣の無い人がEバイク」
という組み合わせでサイクリングに出掛けた場合。急勾配のヒルクライムに関してはペースを合わせやすいのですが(場合によってはロードバイクが千切られる)、平坦路が淡々と長く続くようなルートの場合。ロードバイクに乗る人がペダルを踏みたい気持ちをグッと我慢する時間が多くなってしまいます。
なお、今回のライドの様にかなり走れる人がEバイクに乗り、ロードバイクと一緒にサイクリングした例がこちらです。
このブログの様にロングヒルクライムを主体とするルートでは、これ以上に無いほど最高のトレーニング相手になります。そしてお互いにめっちゃ楽しくて、満足度の高いサイクリングになりますよ。
では仮に。
先ほどのように走力のある人が初心者の人などをアテンドしつつ、平坦路メインのサイクリングに出掛ける場合。お薦めするスタイルを申し上げますと…
「中級者以上の方がクロスバイクもしくはママチャリ」
「初心者や運動習慣がそれほど無い方がEバイク」
このように機材の性能差を利用して走行強度やペースを調整しますと、お互いにさほど気を遣わず、サイクリング中に得られる満足度、達成感を演出することができます。これはカップルやご夫婦でサイクリングに出掛ける際など、どちらか一方が割とガチなサイクリストの時にもお薦めしたい作戦です。
「それが本当のマブです」
それに。普段からロードバイクでガンガン走り込んでいるなら、たまには走行性能的にちょっと劣るバイクでチャレンジしてみるのも楽しいものです。
そういう形で日頃のライドによって鍛えられたフィジカル、そしてライドテクをそことなく披露すると結構ウケます。
おっと、いけないけいない。けっきょく今回も脱線してしまいました。ということで。今回ご紹介したEバイクの本質、いかがだったでしょうか。Eバイクのご購入やサイクリングに出掛ける時など、ご参考にして頂けますと幸いです。
ジャイアントストア今治
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