ジャイアントストア京都紫明通

»トップへ

ディスクブレーキについて(製作中)2014年1月1日

 

ディスクブレーキの特徴と注意点をまとめたページです。

 

ディスクブレーキの特徴

フロントフォークの先端・フレームの後端にある「ブレーキキャリパー」が、車輪中央部に取り付けられた円盤「ブレーキローター」を挟むことによってブレーキが掛かる仕組みのモノです。

その特徴は以下の通り

  • 濡れた時の効きの低下がリムブレーキより少ない
  • 車輪の外周部「リム」がすり減らない
  • ブレーキの効きの強さはローターの大きさとパッドの種類に依存
  • わずかな油分などの付着で不具合が発生する

 

各部名称

シマノマニュアルより

 

使用に際して

乗車前にブレーキがちゃんと効くかどうかのご確認を常にお願いいたします。

 

1、新品の時は制動力が弱め

特に新車お買い上げ時がそうなのですが、新品のパッドとローターは本来の制動力よりもやや甘い状態です。ただ、これは止まれないわけではなく「ギュッと握ればしっかり効くが、軽くブレーキを掛けた際にやや滑っている感触がある」と言うものです。

「軽くブレーキを掛ける」と言う時にご注意ください。

これはブレーキを使うほどに「バチッ」と効くように馴染んでいきますので、どんどんブレーキを使ってください。(俗に「アタリが出る」と言います)

また、ディスクブレーキは路面の水や泥の影響を受けにくいのですが、濡れた際の制動力の低下はわずかにあります。ご注意ください。

 

2、パッドの消耗

ディスクブレーキのパッドは本体内部に隠れており、残量のチェックがやや難しくなっております。

  • ワイヤーで動く「機械式ディスクブレーキ」の場合:
    パッドが消耗するとパッドとローターとの隙間が広がり、ブレーキレバーの握りが深くなります。使いにくさをお感じの際には点検にお持ちください。
    _
  • 油圧式ディスクブレーキの場合:
    上記の機械式とは違いパッドが擦り減ってもローターとの隙間は広がらず、レバーを握る深さも変化しないため、パッドの消耗に気づきにくいと言えます。定期的な点検をお願いします。
    パッドが擦り減った状態で使用を続づけると部品が故障します。

交換のタイミング

例えばシマノ製品の場合では下記のように案内されております。

  • ローターは厚みが1.5mmになったら交換。
  • パッドは厚みが0.5mmになったら交換。

シマノマニュアルより

 

 

3、油分厳禁

ブレーキは摩擦です。
油分や洗剤など摩擦が低下する(滑る)成分が付着するとブレーキの効きが著しく低下し、対応には部品を交換することになります。以下の点にご注意ください。

  • ローターのブレーキ面を触らない
    走行中に油分が付着することはほぼありません。ほとんどのケースは油移りです。
    油分に限らず、ブレーキに影響する“何か”が手に付着していた場合、ごく微量であっても摩擦部分に付着してしまうと異常音が鳴り出したり危機が弱くなります。
    そもそも、摩擦部分に関しては触れる必要性もございませんので、ブレーキ部分を(特に円盤の外周部)を手で触るようなことは基本的にお控えください。
    また、ローターは非常に鋭利な物なので、特に素手で触れるとケガをしてしまう可能性もございます。
    _
  • ディスクブレーキの掃除は「水拭き・乾拭き」のみ。
    「速乾!ブレーキ&パーツクリーナー」と言った類のものは絶対に使用しないでください。
    確かに使用できるだろう成分のものもございますが、
    当方でもそれら製品を使用して問題が発生しなかった試しがございません。
    そもそもブレーキ周辺の汚れは水・泥・ブレーキのダストなどであり、特にクリーナを必要とする汚れは付きません。
    水拭き・乾拭きで十分にメンテナンスできます。
    他に、家庭用台所洗剤のような中性洗剤は使用できますが、十分に水で流していただくようにお願い申し上げます。
    _
    万が一、ローターやパッドに油分がついてしまった際には速やかに拭き取り、乗車せずにお持ちください。
    _

4、火傷注意

上記の「手で触らない」と近い内容になりますが、ブレーキを掛けることによる摩擦熱でブレーキローターは非常に高温になります。走行後の車載作業や輪行作業、下り坂の最中・直後にパンク等で車輪を外されるなどご注意ください。

 

 




 

以下、油圧式ディスクブレーキ

油圧式ディスクブレーキは液圧によってブレーキを作動させます。
なので、レバーと本体を繋ぐ「ホース」には「ブレーキフルード(液体)」が充填されています。

パスカルの原理によって大きい力を引き出せるので、ワイヤー式のディスクブレーキよりも優れているとされています。

 

a、オイル交換時期について

ブレーキフルードは月日を経ると吸湿・膨張・酸化・汚れの侵入などと言った劣化が進みます。
そう言った状態のフルードは気泡が発生しやすくなったり、構成部品を傷めたり腐食を発生させます。

  • ブレーキ動きやタッチがグニュグニュと柔らかくなった
  • 走行時、レバーの握り幅が変化する

と言った症状が現れた場合は点検にお持ちください。

メーカーが推奨する交換頻度はおおよそ1年です。

交換には専門の知識が必要ですのでご相談ください。

_

b、車輪を外した際にはレバーを握らない

油圧式ディスクブレーキはその仕組み上、左右のパッドの間に何も無い状態でレバーを握るとパッドの隙間が狭くなり、場合により車輪の装着ができなくなります。
「車輪を外したらレバーは握らない」を忘れず、車輪を外される際にはパッドスペーサーを装着してください。

 

c、「エア噛み」について

エア噛みとは、ホースの内部に空気の泡(気泡)が発生、あるいは入り込んでレバーがスカスカになり、効きが弱くなったりブレーキを掛けることができなくなる現象の事です。

バイクを逆立ちさせた状態、あるいは寝かせた状態で長時間置いているとエア噛みすることがあります。また、転倒により瞬間的に強い衝撃が掛かった時に発生することもあります。

暑い季節の長時間車載にもご注意ください。
暑くなった車内の温度によって、思わぬ不具合が発生する事がございます。

また、休憩後の再出発時も含め、乗車前にブレーキがちゃんと効くかどうかのご確認を常にお願いします。

もしもこの症状が発生した際には、自転車を正立させてゆっくりとレバーを数回握ることで”カチッとした手応えが復活する事があります。復活しない場合は乗車を中断し点検にお持ちください。

 

d、ブレーキ熱によって起こる症状

  • ベーパーロック
    ブレーキの摩擦熱がオイルに伝わり高温まで上昇すると、吸湿した水気や気泡が膨張してエア噛みなどの症状が現れることがあります。
    このベーパーロック現象は、手が疲れるぐらい長くブレーキ使わなければならないようなとても長い下り坂にて発生することが考えられます。
    また、古くなると気泡が発生しやすくなるフルードがございます。
    フルードがそのような状態になっている場合ですと、本来耐えられる温度であっても気泡が生じる可能性があり、短い下り坂でもベーパーロックの可能性が高まります。
    定期的なブレーキフルードの交換を行い、上記のようなシチュエーションにて、レバーの握りが変化したのを感じたら、途中で止まって休憩と共に冷ます必要があります。
    _
  • フェード
    パッドの温度が上昇し過ぎると、パッド表面に気化ガスが発生します。
    そのガスがパッドとローターの接触を妨げてしまいブレーキが効かなくなる現象です。上記ベーパーロックと同様に、途中で休憩するなど冷ますことで防げます。

温度を下げるには自然冷却させてください。
水などを掛けて急冷させると部品が歪んでしまう可能性がありますので、必ず自然冷却させてください。

 

フルードの種類

シマノ・テクトロ・マグラ
これらメーカーのブレーキには「ミネラルオイル」が使用されています。
油なので吸湿しませんが、酸化はします。
経年によるブレーキタッチの変化がほぼ無いので、ついつい長く使っていまいがちですが、ブレーキダストは確実に侵入しますので定期的に交換が必要です。

SRAM・Avid・ヘイズ
これらメーカーのブレーキには「DOTフルード」が使用されています。
DOTフルードは車やオートバイにも使用されているポリエチレングリコールモノエーテルを主成分とした液体です。
ミネラルオイルと比べて沸点が高く高温時でも安定した性能を得られる事が主な特徴ですが、水と混ざる性質を持つので吸湿します。乗っても乗らなくても時間と共に吸湿します。
吸湿すると沸点が下がるので、ハードなブレーキングによって気泡が発生しやすくなり危険です。
さらに、吸湿すると体積も増えるのでレバーが握れないほどパンパンになったりします。
それだけでなく、フルードが含んだ水分は金属部品を内部から腐食させることもありますので、メーカーが推奨する1年に1回のフルード交換は必須です。

何かのきっかけで塗装部分に付着すると塗装を剥離してしまう性質も持ちます。

ややリスクが大きいような文章になりましたが、DOTフルードは水で流せますのでいざと言うときには水洗いが可能です。

 

2023/5/10 クリーナーについて修正
中性洗剤の案内追記